そこで「聖霊降臨祭」の意味やドイツ語表現、その背景にあるエピソード、聖霊降臨祭の日付が毎年番う理由のほかに、ドイツ以外で聖霊降臨祭が祝日になる国や英語表現などを解説していきます。
〇 「聖霊降臨祭」の意味やその背景を知りたい方。
〇 「聖霊降臨祭」に関するドイツ語表現を知りたい方。
〇 「聖霊降臨祭」がドイツ以外で祝日になる国を知りたい方。
〇 「聖霊降臨祭」の英語表現を知りたい方。
2022年の「聖霊降臨祭(ペンテコステ)」の日付は?
「聖霊降臨祭」は6月5日
今年2022年の「聖霊降臨祭(ペンテコステ)」は6月5日です。日曜日と重なっている祝日です。
6月6日は「聖霊降臨祭の月曜日」で祝日
「聖霊降臨祭」の翌日である6月6日も祝日で、「聖霊降臨祭の月曜日」と呼ばれます。
前日が「聖霊降臨祭」なので、「聖霊降臨祭の月曜日」は振替休日かな?と思われる方もいるかもしれません。
しかし「聖霊降臨祭の月曜日」は振替休日ではなく、お祭りなどのイベントが行われることが多いため、その伝統から「聖霊降臨祭の月曜日」も祝日です。
「聖霊降臨祭」のドイツ語表現とは?
「聖霊降臨祭」はドイツ語で「Pfingsten」
「聖霊降臨祭」はドイツ語で「Pfingsten」(読み:プフィングステン)と言います。ギリシャ語でイースターから50日目という意味の「pentēkostḗ」が語源です。
ドイツには「Pfingsten」にちなんだ花やお祭りもある
ドイツには聖霊降臨祭を意味する「Pfinsgten」にちなんだ花やお祭りなどがあります。
- “Pfingstrose”:
「聖霊降臨のバラ」という意味で「シャクヤク」のことです。
ちょうど聖霊降臨祭の時期に咲くからという理由だけでなく、「シャクヤク」はキリスト教で「母の愛のシンボル」のため「Pfingstrose」と名付けられたと言われています。 - “Pfingstbaumpflanzen”:
聖霊降臨祭のイベントのひとつに「聖霊降臨祭の植樹」と呼ばれるイベントがあります。
ニーダーザクセン州から広まった伝統で、家の前などに細長く切った紙やリボンで装飾した白樺の木や枝を飾ると悪霊から守られると言われています。 - “Pfingstritt”:
バイエルン州の街「バード・コッツィング(Bad Kötzing)」で開かれる聖霊降臨祭の乗馬のお祭りです。
聖霊降臨祭の月曜日に、男性の騎手900人が隣町までの7キロの道のりを馬で行進します。
今年の「聖霊降臨祭」の日付などはわかっていただけたと思うのですが、では、そもそも「聖霊降臨祭」とはどのような意味があるのでしょうか。
次に、「聖霊降臨祭」の意味や日付が毎年変わる理由などを見ていきましょう。
「聖霊降臨祭」の意味とは?
「聖霊降臨祭」とは「使徒たちが聖霊に満たされたことを祝う祭り」
「聖霊降臨祭」とは、「使徒たちが聖霊に満たされたことを祝うキリスト教のお祭り」です。
イエスが復活(イースター)して50日後、昇天して10日後に、祈りを捧げていた使徒たちのところに聖霊が下りてきて聖霊に満たされたことを祝っています。
「聖霊降臨祭」は「ペンテコステ」や「五旬節」という別称も
「聖霊降臨祭」は「ペンテコステ」や「五旬節」とも言われます。「ペンテコステ」はラテン語の「Pentecostes」を語源にしたカタカナ語で、聖霊降臨を意味しています。
「五旬節」と呼ばれる理由は「過越の祭り」と関係あり
「聖霊降臨祭」が「五旬節」と呼ばれる理由は、「過越(すぎこし)の祭り」と関係があります。
【「過越の祭り」とは】
ユダヤ教の三大祭りのひとつである「過越の祭り」。この祭りは、囚われの身になっていたイスラエル人がエジプトから解放されたことを祝う祭りです。
その「過越の祭り」の2日目から50日後にあたる「五旬節」も祝われていました。この五旬節の祈りを捧げているとき丁度その時に、聖霊の降臨があったため、「聖霊降臨祭」は「五旬節」と呼ばれることがあるのです。
「聖霊降臨」とはどんな様子だったの?
天から炎のような舌が現れ聖霊に満たされる
『聖書』の「使徒の働き(使徒言行録)」2章に次のようなことが書かれています。
120人の使徒たちが五旬節の祈りを捧げていると、突風が起こり、天から炎のような舌が現れて、わかれたその舌は祈りを捧げる人々のひとりひとりの上に止まると、使徒たちの心が聖霊で満たされていくのがわかったという描写があります。
聖霊降臨は、その場にいた者以外には想像しがたい出来事だったようです。
信徒たちが外国語で話し始める
聖霊に満たされると、不思議なことが起こりました。それは、使徒たちは外国語で神を称える言葉を語り始めたのです。
しかも、その外国語は使徒たちの母国語ではなく、本人たちも知らない言葉でした。
3000人の人々が洗礼を受ける
なぜ使徒たちが外国語を話し始めたのか…。これについてはちゃんと理由がありました。
使徒たちが外国語を話すことで、神様のことをいろいろな国の人々に伝えるためだったのです。
使徒たちが話す外国語を聞き慣れた人たちが、使徒たちのもとへと集まってきました。そして、使徒を代表してペテロがイスラエルの人々に、主に次のようなことを語りました。
ペテロが人々に語ったこと
- 神はキリストにより語りかけることによって、また奇跡などを通して神の偉大さを伝えたこと。
- 人々に洗礼を施したこと。
- しかし、そのキリストを人は十字架に磔にして殺したこと。
- キリストの復活は神の偉大さの証であること。
これを聞いた人々は何をするべきかと問うと、ペテロは「罪を赦(ゆる)していただくために、悔い改めて、イエス・キリストの名によってバプテスマを受けなさい」と言います。
こうして約3000人の人がその場で洗礼を受けました。
参照:『聖書』(新改訳2017):いのちのことば社より発行
「聖霊降臨祭」の日付は毎年違う理由とは?
2020年の「聖霊降臨祭」は5月31日でしたが、今年2021年は5月23日です。なぜ毎年のように「聖霊降臨祭」の日付が違うのでしょうか。
「聖霊降臨祭」は「移動祝日」で日付は毎年違う
「聖霊降臨祭」はイースターを基準にして日付が決まる「移動祝日」です。
「イースター」はその年の春分の日から日付が決められるのですが、ご存知のように春分の日は毎年違います。「聖霊降臨祭」はイースター後の50日目に祝われるので、「聖霊降臨祭」の日付も毎年、変わります。
ヨーロッパの他の国でも聖霊降臨祭は祝日になるの?
キリスト教文化が浸透している国では祝日
ヨーロッパではドイツ以外でも「聖霊降臨祭」が祝日になっている国があります。その国とは、キリスト教文化の影響が強い国々で、その一例は次の通りです。
オランダ、ベルギー、フランス、スイス、オーストリア、ハンガリー、ポーランド、フィンランド、ノルウェー、デンマーク、ポーランド(聖体拝領祭)
ルーマニアでは2021年は6月20日が「聖霊降臨祭」
ルーマニアは2021年の場合は5月23日ではなくて、6月20日が聖霊降臨祭の祝日です。その理由は、東方正教会だからです。
東方正教会の影響で、ルーマニアはユリウス暦に従って祝日が決められているので聖霊降臨祭の日はヨーロッパの他の国々よりも遅い6月22日になります。
東方正教会と、西方教会系と呼ばれるカトリック・プロテスタントなどの違いは、使われている歴法が違います。東方正教会はユリウス暦を、西方教会系はグレゴリオ暦を使っているため、イースターなどの移動祝日の数え方が異なります。
聖霊降臨祭が祝日にならないヨーロッパの国
聖霊降臨祭が祝日にならないヨーロッパの国々もあります。
イギリス、アイルランド、スペイン、イタリア、チェコ
「聖霊降臨祭」の英語表現は?
最後に「聖霊降臨祭」の英語表現も紹介します。英語では「聖霊祭」の独特な表現があります。
「聖霊降臨祭」は英語で「Pentecost」または「Whitsunday」
「聖霊降臨祭」の英語表現には「Pentecost」と「Whitsunday」という2つの言い方があります。
「Pentecost」は「ペンテコステ」のようにラテン語の「Pentecostes」を語源にした英語表現です。
「Whitsunday」は「white-Sunday」を略した表現で、和訳は「白い日曜日」です。なぜ聖霊降臨祭を白い日曜日と呼ぶかというと、カトリック派で洗礼が受ける人が多く、洗礼のときに受洗者が白衣を着用したことから「Whitsunday」と呼ばれるようになりました。
まとめ
「聖霊降臨祭」は、聖霊が天から下りてきて、使徒たちが聖霊に満たされたことを祝うキリスト教の記念日です。キリスト教文化の影響が濃いドイツなどの国で祝日になっています。
キリスト教を信じていない人には信じがたいエピソードが聖霊降臨祭の背景にはありますが、キリスト教を信仰している人にとっては大事な記念日です。