【ドイツ祝日】「キリスト昇天祭」とは?日付が違う理由・「父の日」も

ドイツの祝日のひとつ「キリスト昇天祭(Christi Himmelfahrt)」の意味と日付が毎年違う理由、祝い方も紹介します。また同じ日に祝われるドイツ版「父の日」についても解説します。

ドイツの5月は祝日が多いのですが、そのうちのひとつが「キリスト昇天祭(Christi Himmelfahrt)」です。2024年の「キリスト昇天祭」は5月9日(木)で祝日です。

「わーい、お休み!」と喜んでいる方もいるかもしれませんが、ちょっと待って。どうして祝日なのかを知っていますか。

「キリスト昇天祭」というネーミングからその内容は予想できるかと思うのですが、この記事で予想と合っているかどうか、答え合わせをしてみてくださいね。

今回は、ドイツで祝日になる「キリスト昇天祭」の意味と毎年日付が違う理由に併せて、キリスト教での伝統的な祝い方を紹介します。また「キリスト昇天祭」と同じ日に祝われる「父の日」についても解説します。

ばどほん
ドイツの男性がはしゃぐ理由がわかりますよ。

【この記事がおすすめの方】

  • 「キリスト昇天祭」の意味を知りたい方。
  • なぜ「キリスト昇天祭」は毎年日付が違うのかを知りたい方。
  • ドイツの「父の日」ではどんな祝い方をするのか知りたい方。

2024年の「キリスト昇天祭」はいつ?

2024年の「キリスト昇天祭」は5月9日

2024年の「キリスト昇天祭」は5月9日(木)です

「キリスト昇天祭」毎年日付が違う移動祝日です。ですから、必ずその年の「キリスト昇天祭」の日付を確認するようにしましょう。

「キリスト昇天祭」の日付はイースター次第

「キリスト昇天祭」は毎年木曜日になることは決まっています。でも、いつの木曜日になるのかが問題です。

「キリスト昇天祭」はイースターから40日目に行われます。つまり、イースターの日曜日から数えて39日後が「キリスト昇天祭」です。その10日後には「精霊降誕祭(Pfingsten)」も控えています。

イースターは教会歴によって日付が決まる

この「イースター」ですが、イースターは春分後の最初の満月になった晩の後に来る最初の日曜日です。

春分の日は地球の公転により毎年6時間ほどずれているのですが、その時間的なずれはイースターとは関係ありません。

教会歴では春分の日は3月21日に決まっています。しかし、春分の日に来る「満月」が天文学とは違う「教会歴」によって定められていて、さらにそれに続く「日曜日」ということで、イースターの日付が年ごとに違うのです。

イースターが遅い年では「キリスト昇天祭」が6月の初めになることもあります。

どうして「キリスト昇天祭」はイースター次第で日付が決まるようになったの?

聖書にイースターの40日後と書いてある

「キリスト昇天祭」がイースターの40日後になった理由は、聖書にそのように書かかれているからです。

「キリスト昇天祭」についての記述は聖書のなかにいくつかあるのですが、その一つに次のようなものがあります。

イエスは苦しみを受けた後、数多くの確かな証拠をもって、ご自分が生きていることを使徒たちに示された。四十日にわたって彼らに現れ、神の国のことを語られた。

引用:『聖書』「使徒の働き」1章3節

イースターでキリストが復活して自分の弟子に再開するなどの奇跡を行ってから40日後に神のいる天国へと向かわれたと書いてあるので、「キリスト昇天祭」はイースターの40日後に祝われることが伝統になっています。

「キリスト昇天祭」の意味とは?

「キリスト昇天祭」とは「キリストが昇天したことを祝う日」

「キリスト昇天祭」とは「キリストが昇天したことを祝う日」です。「キリストが昇天する」とは文字通り「キリストが空に上る」という意味ですが、キリスト教では「キリストの昇天」とは「人の子として生まれたキリストが、神さまのいる場所に行かれた、神の栄光に入られたこと」を意味しています。

キリストはイースターで復活して、弟子たちへの説教を終えると、弟子たちの目の前で空へと上がっていきました。

聖書には次のように書かれています。

「主イエスは彼らに語った後、天に上げられ、神の右の座に着かれた」

引用:『聖書』:マルコの福音書16章19節

「神の右の座に着く」とは、神の権威や威光をキリストに与えられて、神の代わりとなってそれらの力を発揮して働くことを意味しています。

「キリスト昇天」が意味すること

キリストは地上にいるときには神について人々に語り伝えましたが、最後には迫害にあい十字架にかけられました。このように人によって貶められたキリストでしたが、復活して神さまの元へ帰られたことを「キリスト昇天祭」では祝っています。

キリスト教を信仰している人にとっては、キリストが昇天したことで自分たちも神のいる天国へと行けるという保証となり、安心感も得られています。

「キリスト昇天祭」のお祝いの仕方は?

行列を作り豊作を祈る

「キリスト昇天祭」はキリスト教でもカトリックと正統派、またイギリス国教会で祭典として祝われています。

「キリスト昇天祭」を含む3日間にわたるお祝いで、人々は行列を作り、畑を横切って豊作を祈ります。そのため、「Gangwoche」(意味:歩みの週)、「Betwoche」(意味:祈りの週)、「Bittwoche」(意味:お願いの週)と呼ばれることもあります。

「キリスト昇天祭」はドイツ語で「Christi Himmelfahrt」

「キリスト昇天祭」はドイツ語で「Christi Himmelfahrt」です。「Christi」が「キリスト」のことを指して、「Himmel」は「天」、「Fahrt」は「乗り物に乗って走ること」や「旅行」という意味があります。

「キリスト昇天祭」はどこで祝日なの?

「キリスト昇天祭」はドイツ全土で祝日

「キリスト昇天祭」はドイツ全土で祝日です。そのためこの日は学校や会社、お店なども閉まります

「キリスト昇天祭」はキリスト教でも特にカトリック派が特別な日としてお祝いするのですが、宗教に関係なくドイツ全土で祝日になります。

スイスやオーストリアでも「キリスト昇天祭」は祝日

「キリスト昇天祭」は、ドイツ以外ではスイスやオーストリア、ベルギー、デンマーク、フランス、リヒテンシュタイン、ルクセンブルグ、オランダなどでも祝日です。

イタリアとポーランド、ハンガリーでは祝日だったのですが、今では祝日ではありません。でも「キリスト昇天祭」のお祝いはキリスト昇天祭の日の3日後の日曜日にお祝いします。

「キリスト昇天祭」は「父の日」だって知ってた?

「キリスト昇天祭」と「父の日」は同じ日

ドイツでは「父の日」は「キリスト昇天祭」と同じ日に祝われます。

「父の日」は国や地域によって祝う日が違い、日本やアメリカでは6月の第3日曜日です。

なぜ「父の日」と「キリスト昇天祭」が同じ日になったのかはよくわかっていません。ただ、ヒトラーが「キリスト昇天祭」の日を祝日とした1934年から「キリスト昇天祭」と週末の間の金曜日に多くの人が休暇を取ったことと関係があるらしいと言われています。

「父の日」は男性だけでお祝い

「父の日」のお祝いの仕方は、日本のように子どもたちがパパの似顔絵を描いて「ありがとう」などと言いながら渡すような光景は見られません。

「父の日」はむしろ別称の「男の日(Männer Tag)」と言った方が似合っているかもしれません。「父の日」には父親とは関係なく男性ならだれもが参加できるお祝いで、男性だけで集まって「紳士のパーティ(Herrenparty)」をします。

そのパーティがなかなかユニーク。男たちがアルコール類を乗せた手押し車を引きながら家々の間を歩くというのが昔からあるお祝いの仕方です。

ばどほん
男性だけが集まって騒いでいるのがほほえましくも感じられる祝い方です。

家族と一緒に過ごすのも「父の日」の祝い方のひとつ

男性でも子供を持つパパなら、家族と一緒に過ごすというのも「父の日」の祝い方のひとつです。BBQを楽しんだり、サイクリングツアーするなど、屋外で過すのがよくある光景です。

ばどほん

パパとなった男性は、男性だけで祝日を過ごすというのは気が引けるからなのかな?

「父の日」はアメリカが発祥

「父の日」はアメリカのワシントン州に住むドット夫人の父親がシングルファーザーとして6人の子どもを育てた労苦に感謝する日を作ってほしいと教会に頼んだことが由来だと言われています。

アメリカでは1974年に「父の日」は祝日になり、毎年6月の第3日曜日と決まっています。

ばどほん
アメリカと日本の「父の日」の日付は同じですね。

まとめ

「キリスト昇天祭」はキリストが天国に召し上げられることを祝う日ですが、イースターの40日後が「キリスト昇天祭」の日付になるので毎年違います。

私はキリスト昇天祭の行列を見たことがないので、一度は見てみたいと思っています。もしもお近くの教会でこの行列をしているところがあれば、見に行かれてはどうですか。興味深い経験ができるかもしれませんよ。