レオナルド・ダ・ヴィンチの『最後の晩餐』は、イエス・キリストと12使徒が一緒にした最後の食事を描いた有名な絵画です。この絵画には、イエス・キリストを裏切った弟子として有名な通称裏切り者のユダも描かれているのですが、どこに描かれているのでしょうか。
この記事では、レオナルド・ダ・ヴィンチの『最後の晩餐』で描かれる事実とは異なることのほかに、なぜ裏切り者と呼ばれるユダのそのこういについて紹介します。
『最後の晩餐』の嘘とは？
本当は寝そべって食べていた
レオナルド・ダ・ヴィンチ以外にも多くの画家が最後の晩餐の絵を残していますが、そのほとんどで、イエス・キリストと弟子たちは椅子に座って食事をしている光景が描かれています。
ところが、当時のエルサレムでは椅子に座って食事をする習慣はありませんでした。床の上にクッションなどを敷いて座ったり、また古代ローマではトリクリニウムと呼ばれる寝椅子に寝たりして食事をしていたそうです。つまり「最後の晩餐」として描かれているように椅子に座って食事をしていませんでした。
すっかり『最後の晩餐』と言うと長テーブルに椅子に座って食事をしているイエス・キリストとその弟子の姿が目に焼き付いているかもしれませんが、本当は椅子に座って食事をしていなかったというのが事実のようです。
裏切り者のユダはどこに？
裏切り者のユダは青と緑の洋服を着た人
最後の晩餐を描いた絵画として有名なレオナルド・ダ・ヴィンチの『最後の晩餐』には、イエス・キリストと12使徒の食事の様子が描かれています。
この絵で注目したいのが、裏切り者のユダの存在です。ユダはキリストの愛する弟子のひとりでしたが、お金に目がくらみ、民衆にイエス・キリストを捕まえさせる手伝いをします。
レオナルド・ダ・ヴィンチもこのユダのことを『最後の晩餐』に描いてます。それは中心にいるイエス・キリストに向かって左から2番目に座っている人物で、青と緑の洋服を着て横を向いています。そのため、頭の位置だけで数えると、イエス・キリストから左から3人目にいるように見えるかもしれません。
イエス・キリストを裏切った報酬として得た銀貨を手にしています。またもう一方の手はパンに伸びているのですが、そのパンにはキリストの右手も伸びています。これは聖書にある「私がパン切れをワインに浸して与えるのがその人だ（ヨハネの福音書13章26節）」というキリストの言葉を表現していると言われています。
レオナルド・ダ・ヴィンチの『最後の晩餐』
1495年から1495年に、サンタ・マリア・デッレ・グラツィエ修道院の食堂の壁画として制作されました。
裏切り者のユダは通称「イスカリオテのユダ」
裏切り者のユダは「イスカリオテのユダ」とよく呼ばれます。イエス・キリストの弟子には、ユダが2人いるため、区別するためにそう呼ばれているんドエス。
もう一人のユダは、タダイと呼ばれるユダで「聖ユダ・タダイ」のことです。
「イスカリオテ」とは「カリオテの人」という意味で、カリオテはユダ王国の南に位置する町のことです。またユダの父親であるシモンのニックネームでもありました。
ユダはなぜイエス・キリストを裏切ったのか
ユダがキリストを裏切った理由は不明
ユダがなぜキリストを裏切ったのか、その理由についてはわかっていません。ユダがキリストを愛していなかったから、キリストが国を統治してユダが要職に就くつもりだったのがキリストにはそのような計画がなかったからだとか、さまざま理由が推測されています。しかし、ユダが裏切った詳細が書かれている書物などは残されていません。
会計を任されていたユダはお金を抜き取っていた
ユダはイエス・キリストの弟子であり、キリストが信頼する12使徒のひとりでした。会計も任されていたのですが、会計をごまかしてお金を抜き取っていたと言われています。
イエス・キリストを裏切った代償は奴隷1人分の銀貨30枚
ユダは祭司長たちにキリストの居場所を教える代わりに受け取った代償は、当時の奴隷一人分の報酬である銀貨30枚でした。
このお金を受け取ったユダは、ゲツセマネという場所で祈っていたキリストのところに行き、祭司長たちに誰がキリストなのかを教えるためにキリストに近づき口づけをしました。こうしてキリストが誰なのかが分かった祭司長たちと大勢の民衆はキリストを捕らえたのでした。
後悔したユダは自死をもって償った
ユダはキリストの死後、キリストを裏切った後悔から首を吊って自殺を図っています。キリストが捕らえられた翌日、キリストの処刑が決まったことを知ったユダは後悔して、報酬として受け取った銀貨30枚を手に祭司長たちのところに行きました。そして、次のように告げます。
「私は無実の人の血を売って罪を犯しました」
（マタイの福音書27章4節）
祭司長たちに
「われわれの知ったことか。自分で始末することだ」
（マタイの福音書27章4節）
と返答されると銀貨を神殿に投げ入れて、自殺を図ったのでした。
ユダは確かにキリストを裏切ったのですが、最後には自分の罪を理解しています。裏切り者のユダとして名高いユダですが、ユダは最後まで悪人だったとは言えないかもしれません。
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まとめ
最後の晩餐をテーマに描かれた絵画は数多く、そのほとんどが椅子に座って食事をする光景なのですが、実際は椅子に座って食事をしていなかったのだそうです。また、この食事の後にキリストの居場所を教えたユダは裏切り者のユダとして悪名が広まりました。ただユダもキリストが処刑されることを知った時には後悔していることから、生涯最後まで裏切り続けたのではなかったと言えるのかもしれません。