「東方の三博士」の意味とは?「三王来朝」とヘロデ大王の恐ろしいたくらみ

「東方の三博士」とは生まれたばかりのイエス・キリストの最初の訪問者です。聖書にもこの博士たちの記述は少ないため、謎に包まれていることも多い人物です。

博士たちがキリストを訪ねた日とされる1月6日は「三王来朝」とされて祝日になっている地域もあるほどですが、当時のユダヤ王国を統治していたヘロデ大王はキリストの誕生を聞き及び動揺して、ある計画を立てたのですが、どんな計画だったのでしょうか。

この記事では、東方の三博士の職業や名前など博士たちについて、また「三王来朝」と博士たちからの贈り物も解説。さらにヘロデ大王のたくらみについても紹介します。

「東方の三博士」の意味とは?

 

「東方の三博士」とは「生まれたばかりのキリストを訪問した学者」

「東方の三博士」とは新約聖書に出てくる登場人物で、「生まれたばかりのキリストを訪問した学者」です。

博士たちは占星術か天文学の学者であったことから「博士」や「賢者」とも翻訳されることがあります。

3人の博士ということで「三博士」とされていますが、実は聖書には博士の人数についての記述はありません。しかし贈り物が3つだったという記述があることから、博士の数は三人という説が定着しました。

三博士は生まれたばかりのキリストを訪問した

博士たちはエルサレムにいるヘロデ大王を訪ねて許しをもらい、生まれたばかりのイエス・キリストがいるベツレヘムへと向かいます

星に導かれてたどり着いたところに厩(うまや)があり、そこにマリアとヨセフと一緒にキリストもいました。博士たちはひれ伏し礼拝して、キリストに贈り物をしました。

三博士の名前はメルキオール、バルタザール、ガスパール

中世になってから三博士は博士ではなく「王」とされ、起源500年頃のギリシャ語の写本にはそれぞれの名前も記されました。それが、メルキオール、バルタザール、ガスパールです。

バルタザールは14世紀以降に黒人になった

三博士が描かれている絵画などを見てみると、バルタザールは黒人として描かれています。14世紀のルネサンス以降、その肌の色が強調されるようになりました。

バルタザールが黒人になったたのは、歴史家で修道士だったベーダ・ヴェネラビリスだと考えられています。彼の著作の中にバルタザールは黒人だと記したのでした。

「東方の三博士」はどこから来たのかは不明

「東方の三博士」がどこからやってきたのかはわかっていません。彼らは東のどこからかエルサレムにやってきたという大まかな記述しか聖書にはありません。

「三王来朝」と贈り物とは?

「三王来朝」は1月6日で祝日になる州も

「三王来朝」とは「三博士の参拝」とも言われていて、「東方の三博士」がベツレヘムにいるキリストを訪ねたときのことを指しています。

三王来朝の日は1月6日とされていて、ドイツでは州によっては祝日にもなっています。

三博士からキリストへの贈り物は「黄金」「乳香」「没薬」

東方の三博士はキリストに会った時に、贈り物をしたと言われています。その贈り物とは「黄金」「乳香(にゅうこう)」「没薬(もつやく)」で、それぞれに意味があります。

【「黄金」「乳香」「没薬」の意味】

〇「黄金」:王権の象徴。メルキオールが持ってきたとされる贈り物。

〇「乳香」:神性の象徴。バルタザールが持ってきたとされる贈り物。

〇「没薬」:死の象徴。ガスパールが持ってきたとされる贈り物。

「乳香」と「没薬」は古代エジプトを代表する香料で、「乳香」はカンラン科の植物からとれた樹脂、「没薬」も同じくカンラン科の植物から取れた樹脂で、ミイラにも使用された薫香でした。

ヘロデ大王のたくらみとは何か?

ヘロデ大王はキリストを殺害するつもりだった

ヘロデ大王は、訪ねてきた博士たちから次のように尋ねられたとき、とても動揺しました。

「ユダヤ人の王としてお生まれになった方は、どこにおられますか」
引用:マタイの福音書2章2節

ヘロデ大王にとって王とは彼自身のことで、博士からの問いかけは脅威に感じられたのです。そこで、ヘロデ大王は律法学者や祭司たちに聞き、キリストの生誕が予言されていることを知ると、博士たちにベツレヘムに行くことを許可します。

そして、キリストが生まれたことを確かめたら報告してほしいと頼みます。

なぜ、こんなことを頼んだのでしょうか。

それは、キリストの殺害を考えていたからです。キリストが生まれたことを確かめたら、キリストを殺害するつもりでした。

失敗に終わった殺害計画

しかし、ヘロデ大王がキリストを殺すことはできませんでした。なぜなら、博士たちはベツレヘムでキリストに会った後、夢のお告げで「ヘロデのところに帰るな」と予言されたのです。そのため博士たちはヘロデ大王の元に帰らなかったため、ヘロデ大王はキリストの生誕を知らされませんでした

その結果、殺害計画も実行されませんでした

まとめ

キリストが生まれたことを星によって知らされた3人の博士たち。彼らはヘロデ王の許可を経て、ベツレヘムに向かい、キリストに会い「黄金」「乳香」「没薬」の贈り物をしました。この出来事を祝い、1月6日は「三王来朝」として、ドイツでは一部の州では祝日になっています。

祝われるべきキリストの生誕でしたが、ヘロデ大王はキリストの殺害を計画するなど恐ろしい隠されたエピソードもあった「三王来朝」。このエピソードはキリストの人生が受難の人生であることを象徴しているかのようです。

最後まで読んでくださってありがとうございました。では、また!