Netflix映画『西部戦線異状なし(2022)』がアカデミー賞を受賞!ドイツ映画としてリメイクの反戦映画の魅力とは?

ネットフリックス映画『西部戦線異状なし(2022)』が第95回アカデミー賞で国際長編映画、撮影、美術、作曲の4部門で受賞しました。ドイツで製作された映画がアカデミー賞で、しかも4部門で受賞したとあり、朗報としてドイツのニュース番組でも取り上げられました。

今回は、アカデミー賞受賞で湧く映画『西部戦線異状なし(2022)』について紹介します。映画のテーマやあらすじ、1930年版の映画との違いのほかに、ドイツ・フランクフルトで『西部戦線異状なし(2022)』が上映されている映画館やブルーレイ情報も紹介します。

映画『西部戦線異状なし(2022)』とは?

映画『西部戦線異状なし』は反戦をテーマにした映画

映画『西部戦線異状なし』とは、反戦をテーマにした戦争映画です。主人公の若いドイツ人が志願して戦争に出兵したのですが、戦地で過酷な現実を目の当たりにして恐怖や絶望に飲み込まれていく物語です。若き兵士の恐怖体験を通して、戦争の残酷さやむごさを伝える反戦映画になっています。

映画『西部戦線異状なし(2022)』はドイツでのリメイク映画

映画『西部戦線異状なし(2022)』は、1930年に制作された映画『西部戦線異状なし』のリメイクともいえる作品です。1930年版はアメリカで製作されましたが、2022年版はドイツで製作されています。ドイツ軍を舞台にした作品がドイツで製作されたとあり、製作段階から注目度の高い作品でした。

映画『西部戦線異状なし(2022)』の評価はおおむね好評

映画『西部戦線異状なし(2022)』の映画レビューを見てみると、おおむね好評だったことがわかります。戦争反対というテーマは失われず、原作の作品性も保持されているというのがよく見られた評価でした。

1930年版の『西部戦線異状なし』との比較で、主人公の兵士の物語とバラレルで進んだ休戦を求める軍上層部のプロットに対する評価、そしてその映像美と緊張感を募らせるようなサウンドトラックの評価も高かったことが印象的です。

その一方で、原作にあった戦争から帰還した人々が受けた疎外感という点での描写がないことに原作を踏襲していないという点をマイナス評価としているレビューもありました。

映画『西部戦線異状なし(2022)』が4部門でアカデミー受賞

『西部戦線異状なし(2022)』は第95回アカデミー受賞で、国際長編映画、撮影、美術、作曲の4部門で最優秀賞に輝きました。ノミネートは9部門と高評価を受けてアカデミー賞に挑んだ形ですが、原作に忠実で、戦争を真っ向からとらえた作品作りを通して反戦メッセージが伝えられてことが評価されました。

ドイツ映画がアカデミー賞の最優秀賞を受賞するのはこれまでに3回あったのですが、最新のもので2007年に外国部門賞を受賞したFlorian Henchel von Donnersmarck監督の『Das Leben der Anderen』(日本語タイトルは『善き人のためのソナタ』)でした。『西部戦線異状なし(2022)』のアカデミー賞受賞は、実に15年振りとなるだけでなく、4部門で受賞したというのは快挙です。

映画『西部戦線異状なし』のあらすじと原作

映画『西部戦線異状なし』のあらすじ

17才のパウルは、祖国ドイツのために第一次世界大戦に兵士として参戦することを志願します。戦地で英雄になることを夢に見たパウルは、クリスマスまでに返ってくることを約したのですが、壮絶な最前線の様子に加えて、目の前に次々と襲ってくる死の恐怖に、飢えも加わり、パウルは戦争の現実を目の当たりのするのでした。

小説家「エーリヒ・マリア・レマルク」の実話をもとにした映画

映画『西部戦線異状なし』は、ドイツ人小説家エーリヒ・マリア・レマルク(Erich Maria Remarque)の小説をもとに製作された映画です。

小説のタイトルは映画同様『西部戦線異状なし(原題“Im Weste nichts Neues”)』で、作者レマルク自身がドイツ兵として第一次世界大戦に参戦したときの経験をもとに、反戦というメッセージを込めて書き上げたフィクション小説です。

レマルクの小説はこれまでに多くの映画監督や映像制作者の心をとらえてきました。『凱旋門』は1980年にダニエル・マン監督によって映画化されましたし、『黒いオベリスク』は2020年にマーク・ブライアン・マシュー監督によって映画化されました。こうしたことから、レマルクはビジュアル化を連想させる力強い作品を作り出してきた作家だと言えるかもしれません。

Taschenbuch ”Im Westen nichts Neues”

映画『西部戦線異状なし』は観られるブルーレイ情報と映画館

映画『西部戦線異状なし』のブルーレイは「2022年バージョン」で

映画『西部戦線異状なし』のブルーレイはすでに発売されています。しかし購入時は必ず「2022年バージョン」をお買い求めてください。

映画『西部戦線異状なし』はリメイク映画ということで、ドイツ語タイトル『Im Weste nichts Neues』で検索すると、1930年にアメリカで製作された映画も上位に出てきます。

1930年版『西部戦線異状なし』も名作

1930年版『西部戦線異状なし』もオスカー受賞映画として有名です。当時、戦勝国として浮足立っていたアメリカで、敗戦国のドイツ側を描くという特異な背景も注目されました。

映画『西部戦線異状なし(2022)』では、戦争映画としてリアルな描写も見ものとひとつです。第一次世界大戦時の先頭には、毒ガスや火炎放射器などむごい殺人兵器も利用されました。こうした戦闘シーンをリアルに描写している本作では、かなり暴力的または過激と思える描写も少なくありません。
ブルーレイも16歳以上を指定しているように、激しい描写が苦手な方などはこの映画を観るときには注意してください。

Im Westen nichts Neuse (2022)

Thalia|Im Westen nichts Neues (2022)

映画『西部戦線異状なし』はMyZeilの映画館で上映中

映画『西部戦線異状なし』を映画館で観たいのなら、MyZeilにある映画館「Astor Film Lounge MyZeil」で上映中です。2023年3月13日現在では、残念ながらこの映画館のみの上映です。しかし、今回のオスカー賞受賞を受けて、急遽、上映を始める映画館も出てくるかもしれませんので、お近くの映画館のプログラムも逐一チェックしてみてください。