11月1日「諸聖人の日」は祝日?ハロウィンや死者の日との関係も 

毎年11月1日は「諸聖人の日」。ハロウィンの陰になって印象が薄いかもしれませんが、ドイツの州によっては祝日にもなります。

ところで、この「諸聖人の日」というネーミング。このネーミングからその意味を想像できるでしょうか。

ちょっとわかりにくい、なんの日なの、と思っている方も多いはず。

そこで今回は、「諸聖人の日」の意味や祝日になるドイツの州を紹介します。また「諸聖人の日」とその前日の「ハロウィン」は「死者の日」との関係についても説明します。

「諸聖人の日」の意味とは?

「諸聖人の日」は「聖人を敬う日」

「諸聖人(しょせいじん)の日」とは、「聖人を敬うキリスト教の祝日」です。この場合の「聖人」とは、キリスト教で特に信仰や徳が高い人で、殉教者や、教皇によって「聖人」と公認された人を指します。

キリスト教では聖人として認められた人がたくさんいるために、聖人ひとりひとりを崇敬するのは大変なので、「諸聖人の日」という日を設けて、一度に聖人を敬うことにしたのです。

なぜ「諸聖人の日」は11月1日になったのか

「諸聖人の日」は毎年11月1日ですが、もともとは聖霊降臨祭(Pfingsten)の後の最初の日曜日でした。

ばどほん

つまり、5月の下旬だったわけですね。

しかし、9世紀になって11月1日ということになりました。

その理由は、秋の収穫が終わるころの方が、お祝いするための十分な食べ物が用意できることから、教皇グレゴリウス4世が諸聖人の日を延期したことが始まりです。

正教会では現在でも、元の期日で諸聖人の日を祝っています。

「諸聖人の日」のドイツ語と祝日になる州とは?

「諸聖人の日」はドイツ語では「Allerheiligen」

「諸聖人の日」はドイツ語では「Allerheiligen」と言います。「alle」と「Heilige」の2つの言葉から成り立っていて、「alle」は「すべての」という意味で、「Heilige」は「聖人という意味です。

ドイツで祝日になる5つの州

ドイツで祝日になる州はキリスト教のカトリック派の影響が強く残る州です。その州とは、次の5つの州です。

  • バイエルン州
  • バーデン・ヴュルテンベルク州
  • ノルトライン・ヴェストファーレン州
  • ラインラント・プファルツ州
  • ザールラント州

ドイツ以外の国で「諸聖人の日」が祝日になる日

ドイツ以外の国では、オーストリアやスイス、ベルギー、フランス、ポーランド、ルクセンブルク、スペイン、ポルトガル、イタリア、クロアチア、ハンガリー、フィリピンで「諸聖人の日」が祝日になっています。

スウェーデンとフィンランドでも「諸聖人の日」が祝日になるのですが、11月1日と決まっていません。10月31日から11月6日の間の土曜日が「諸聖人の日」の祝日になります。

「諸聖人の日」は何をする?

「諸聖人の日」は静寂をまもる日

「諸聖人の日」は静かに過ごす日とされています。そのため、派手なイベントは開かれませんし、スーパーや小売業関係のお店も閉まります。

ただし、パン屋と花屋だけは、5時間だけ開業することが許されています

教会では礼拝が行われる

また教会では、諸聖人の日の礼拝として特別な礼拝が行われます。聖人を敬うための祈りがささげられ、また聖人によって導かれたキリスト教徒がこれからも信仰を持ち続ける喜びなどが祝われます。

お墓参りに行く人も

「諸聖人の日」の翌日は「死者の日」ということもあり、お墓参りに行く人も多く見られます。キリスト教系でのお墓参りでは、お花を添えて祈りを捧げます。

諸聖人の日前後にお墓参りをする方が増えるので、墓所も「諸聖人の日」までに参道などをきれいにしておくことが恒例になっています。

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「諸聖人の日」と「ハロウィン」「死者の日」との関係とは?

「ハロウィン」とは「諸聖人の日の前夜祭」

 

「ハロウィン(Halloween)」はもともと諸聖人の日の前夜祭として、悪霊を追い払うための行事でした。古代ケルト文化と古代ローマ文化、キリスト教文化が融合して生まれたと言われています。

古代ケルトでは、10月31日は死者の霊が訪れる日だとされていて、死者を導き、また悪霊を追い払うための儀式として「サウィン(Samhain)」が行われていました。この伝統を引き継ぎ、ハロウィンへと発展していきました。

しかし現在のハロウィンはすっかり宗教色が薄れて、子どもたちがちょっと羽目を外して楽しむイベントになりました。

お化けや魔女の格好をして、家々を回っては「お菓子といたずら、どっちがいい」と言って、お菓子を集めます。

ばどほん

ハロウィンは「扮装する楽しみ」と「夜を歩き回れる楽しみ」、そして「お菓子もたくさんもらえる」とあって、子どもたちにとって人気のイベントですね。

ハロウィンのかぼちゃのランタンは、実はカブだった…という話

ハロウィンでは「ジャック・オー・ランタン」と呼ばれる怖い顔をした大きなかぼちゃのランタンが見られますよね。

三角の目に、大きな口が特徴ですが、このランタンが作られる背景には、ケルト文化が色濃いアイルランドの逸話に残るジャックという男のエピソードがあります。

ジャックは悪さばかりをしていた男だったのですが、悪魔と「死んでも地獄に落とされない」と契約をしたのだとか。でも、悪事をしていたので死後、ジャックは天国にも地獄にも行けなかったため、カブをくりぬいたランタンでひとりさまよっている…。

あら、ここで出てくるのはカブですよね。でも、私たちがよく見るハロウィンのランタンはかぼちゃです。

昔はカブが使われていたそうですが、アメリカに渡ったアイルランド移民がカブよりもかぼちゃの方が入手しやすかったため、かぼちゃのを使うようになったそうです。また、カボチャの方がくりぬきやすかったことも、かぼちゃが定番になった理由のようです。

「死者の日」は「諸聖人の日」の翌日「11月2日」

「死者の日(独:Allerseelen)」は「死者を悼む日」です。「諸聖人の日」の翌日、11月2日が「死者の日」なので、「諸聖人の日」とセットとして覚えている人も多いでしょう。

「死者の日」は「万霊節(ばんれいせつ)」とも呼ばれていますが、主にキリスト教のカトリック派で信者の霊を祀る日になっています。

「死者の日」の起源

「死者の日」の起源は10世紀にまでさかのぼります。

フランス中部を流れるソーヌ川岸にあるクリュニ―という町の修道院「クリュニー修道院」である修道長を務めた聖オディロ(Odilo von Cluny)が「死者の日」を定めました。

聖オディロによれば、信者はなくなると、すべての人が天国(Paradies)に行けるわけではなく、プルガトリウムと呼ばれる地獄に行く人もいると語りました。悔い改めていない人は、プルガトリウムに行くことになるそうです。

聖オディロはプルガトリウムで受ける苦しみを減らすために祈る日として、「死者の日」を定めました。

メキシコでは「死者の日」に盛大なお祭りが開かれる


ドイツでは「死者の日」を祝日にしている州はありませんが、メキシコでは「死者の日(Dia de muertos)」として盛大に祝われます

そのお祝いは賑やかで、メキシコ各地で死者や死をイメージするコスチュームを着てパレードをしたり、祭壇を飾りお墓もロウソクやさまざまで飾りつけたりします。

2003年には「死者に捧げる先住民の祭礼行事」としてユネスコの無形文化遺産に登録されたほどです。

死者に対するお祝いでありながら派手なお祭りとなる理由は、故人の死を悲しむというよりは、故人の生きていたころの思い出を皆で共有するという想いがあるため、死者の日のお祭りは楽しいお祭りになっています。

【補足】10月31日は「ルターの宗教改革記念日」で祝日の州もある

10月31日というとすっかり「ハロウィンの日」で定着してしまいましたが、キリスト教の関係者の間では、10月31日は「ルターの宗教改革記念日」として知られています。

聖職者で神学者として知られるマルティン・ルターが、1517年10月31日にヴィッテンベルク城教会の扉に「95か条の提題」を掲示しました。このことがきっかけになって宗教改革が始まったと言われています。

この宗教改革の始まりを記念して、「宗教改革記念日(独:Reformationstag)」が定められました。

ドイツでは、キリスト教のプロテスタント派の影響が強い州では祝日になります。

「宗教改革記念日」が祝日の州】ハンブルク、ブランデンブルク、ブレーメン、メクレンブルク・フォアポンメルン、ニーダーザクセン、ザクセン、ザクセン・アンハルト、チューリンゲン、シュレースヴィヒ・ホルシュタイン

まとめ

「諸聖人の日」は聖人を敬うキリスト教の祝日で、とくにカトリック派の信者にとって重要な日だと考えられています。そのためカトリック派の影響が強いドイツの州では、祝日になっています。

プロテスタント派の信者は「諸聖人の日」の意味を理解したうえで、その日に続く「死者の日」も大切に考えているので、この日を機会にお墓参りに行かれる方も多いでしょう。

さあ、あなたは諸聖人の日をどのように過ごされますか?

ハロウィンで大騒ぎをした翌日の「諸聖人の日」は打って変わって静かに過ごす日ですから、騒がず、静かに過ごしましょう。

 

最後までお読みいただきましてありがとうございました。