イースターはいつからいつまで?「棕櫚の日」の意味と由来・エデンの園には善悪の知識の木も

イースター休暇が毎年4日間あり、その間だけを指してイースターだと思いがちですが、実はイースターはとても長く続くお祝いです。

「イースター」とは、イースターの当日の40日前に始まり、イースター当日から50日後に終わります。

イースターの始まりとなるのが「四旬節」で、四旬節の途中でイースター前にある聖日が「棕櫚(しゅろ)の日(Palmsonntag)」です。イースター前には「洗足木曜日(Gründonnerstag)」があり、イースター休暇が終わってしばらくすると「聖霊降臨祭(Pfingsten)」を迎えてイースターが終わります。

今回は、イースター前の聖日である「棕櫚の日」について解説します。棕櫚の日の意味や由来、なぜイエス・キリストはロバに乗ってエルサレムに入城してきたのかなどを紹介します。

2023年のイースター・カレンダー

【2023年】イースター関連の全ての日と意味

下記のイースター関連の日程を追っていくと、イエス・キリストがどのような経過で復活して、また昇天していったのかがわかります。

  • 2月22日(水)~4月8日(土):「四旬節」
    「四旬節」はイースター前の30日間で、キリスト教徒はこの期間は断食の期間。

四旬節が始まる2月22日は「灰の水曜日(Aschermittwoch)」で、教会から離れた人が反省の公的な儀式としてヤシの木の枝などを燃やした灰を使用されていたことが由来しています。
4月8日は「聖土曜日(Karsamstag)」で、イエス・キリストが復活した前日になります。

  • 4月2日(日):「棕櫚(しゅろ)の日」
    「棕櫚の日(Palmsonntag)」
    はイエス・キリストがエルサレムに入城した日。
  • 4月6日(土):「洗足木曜日
    「洗足木曜日(Gründonnerstag)」は、イエス・キリストとその12使徒(弟子)が一緒に夕食を食べたことで有名な「最後の晩餐」が行われた日。
  • 4月7日(金):「聖金曜日」
    「聖金曜日(Karfreitag)」
    はイエス・キリストが十字架にかけられた日。
  • 4月9日(日):「復活祭(イースター)」
    「復活祭(Ostersonntag)」はイエス・キリストが死から復活した日。
  • 4月10日(月):「イースターマンデー」
    「イースターマンデー(Ostermontag)」
    はイエス・キリストの2人の弟子がキリストに再会した日。
  • 5月18日(木):「キリストの昇天」
    「キリストの昇天(Christi Himmelfahrt)」は、イエス・キリストが天に昇って行った日。
  • 5月28日(日):「聖霊降臨祭」
    「聖霊降臨祭(Pfingsten)」
    は、イースターから50日後のことで、使徒たちが聖霊に満たされた日。英語表現でのペンテコステという呼び名でも知られる。

「棕櫚の聖日(Palmsonntag)」とは?

ヤシの木の枝は祝福の象徴

「棕櫚の聖日」とはイエス・キリストがエルサレムに来た日

「棕櫚(しゅろ)の聖日(Palmsonntag)」とは、イエス・キリストが子どものロバに乗ってエルサレムに入ってきた日です。イエス・キリストのエルサレム入城は、イエス・キリストが生まれる前に書かれた旧約聖書に書かれていることで、イエス・キリストはそれを実際に行ったに過ぎないと語ったことが旧約聖書に記されています。

「棕櫚」とはヤシ科の植物を表す言葉で、エルサレムの住人がイエス・キリストがエルサレムに来たことを祝って、ヤシの木の枝を手にしたり道に敷いたりしていたことから、この聖日のことを「棕櫚の日」と呼ぶようになりました。

またイエス・キリストがエルサレムに入城したときに、「どうか救ってください」という意味の「ホサナ」という掛け声とともにイエス・キリストを迎えた日としても知られています。

「ヤシの木の枝」は神の祝福のシンボル

イエス・キリストのエルサレム入場のとき、人々がヤシの木の枝を持っていたのかというと、キリスト教では「ヤシの木」が「いのちの木」と考えられているからです。

旧約聖書ではアダムとイヴが暮らしていたとされるエデンの園が描かれていますが、そのエデンの園には「いのちの木」として棕櫚、つまりヤシの木が植えられていました。そのためヤシの木が神の祝福のシンボルとして知られています。

エデンの園には禁断の実をつけた「善悪の知識の木」も

エデンの園の中央にはヤシの木のほかに、もう一つ飢えられていた木がありました。それが「善悪の知識の木」です。

善悪の知識の木にはよく熟した実がなっていて、イヴが蛇(サタン)に誘惑されてその実を食べてしまいます。神様からはその実を食べてはいけないと言われていて、イヴもその実を食べないことを誓っていたにもかかわらずです。

禁断の実を食べると、イヴは初めて自分が裸であることを知り恥ずかしさを覚えます。アダムもイヴに勧められたその実を食べたために恥ずかしさを覚えました。こうして神様との約束を破った人間は、恥ずかしさに加えて罪や苦しみ、病、死を知ることになったと考えられています。

「ロバ」は非暴力と謙虚さを表す

イエス・キリストが乗っていたロバですが、ロバは非暴力と謙虚さを表しています。当時、移動手段として使われていたのは馬ですが、馬は戦争に使われて、位の高い人しか扱えない動物でした。それに対して、ロバは戦争に用いられるわけではない民衆が飼育のできる動物でした。

イエス・キリストは分け隔てなく人々を救う救世主としての証としてロバに乗ってエルサレムに入城したと考えられています。

関連記事

イースターの聖日のひとつ「聖木曜日(洗足木曜日)」は、キリストが十字架につけられる前日のことです。最後の晩餐が開かれた日としても知られていますが、「洗足木曜日」という別称があり、どのような意味があるのでしょうか。この記事では、「聖木[…]

まとめ

「棕櫚の日」というネーミングがキリスト教と結び付きにくいと思っていたのですが、キリスト教では、ヤシの木が祝福の象徴で、イエス・キリストのエルサレム入城をヤシの木の枝をもって人々が祝ったことを知り納得したのでした。ヤシの木といったら南国のイメージしかなかったのですが、このように宗教と繋がっていたのですね。

イースターの一環として祝われる「棕櫚の日」。キリスト教徒でないとあまり関係ないかもしれませんが、ドイツにいると聞かれる言葉です。「Palmsonntag」と聞いて、イエス・キリストがエルサレムに入城した日だなとわかったことでちょっと落ち着いたのは私だけでしょうか。

最後まで読んでいただきありがとうございました。