クリスマスが終わったらお正月の飾りつけ、と慌ただしい年末をお過ごしの方も多いはず。でも、ドイツではクリスマス連休が終わった12月27日になってもクリスマスの飾りつけを片付けることはありません。
そもそもお正月の飾りつけもないのですが、理由はそれだけでなく、クリスマスは年を越して新年まで飾り付けられているのが伝統です。
では、いつクリスマスの飾りを片付けるのでしょうか。
この記事では、クリスマスの飾りつけの片づけるタイミングに併せて、お正月にもクリスマス感たっぷりのドイツの年末の過ごし方も紹介します。
大晦日からお正月の過ごし方とは?
お正月はクリスマスと一緒に!
年間を通してドイツでの最大の家族イベントとなるのが、クリスマスです。12月24日のクリスマスイブの日の午後にはお店は閉店して、12月26日までは祝日になります。
それもそのはず、クリスマスの1カ月前から待降節(降臨節とも呼ぶ)が始まり、1カ月かけてたっぷりとクリスマスを祝うのですから。
クリスマスを過ぎれば年越し、お正月になりますが、ドイツ人にとっても新しい年を迎えることはお祝い事のひとつで、家族や友人と一緒に楽しく過ごします。
でも、新年を迎えるからと言ってもクリスマスの飾りつけを片付けることはありません。お正月の特別な飾りつけもないので、クリスマスの飾りつけのまま新年を迎えることになります。
「あけましておめでとう」はドイツ語で「Frohes neues Jahr!」
年末を迎えると、飾りつけはクリスマスの延長のままで、口にする言葉が変わります。
まず、クリスマスが終わり新年を迎えるまでによく聞かれるのが、「よいお年を!」を意味する「グーテン・ルッチィ(Guten Rutsch!)」。
「Rutsch」とは公園などにある遊具の「滑り台」のことで、「Guten Rutsch」を直訳すれば「よく滑ってね」という感じになります。
年末に滑るなんて縁起が悪いと思われるかもしれませんが、これは他人の不幸を願っている言葉ではもちろんなくて、「年末まで滑るように何事もなく上手くいってね!」という意味が込められている決まり文句です。
もしも知り合いなどにあったら別れ際に「グーテン・ルッチィ(Guten Rutsch!)」と言ってみてください。きっと笑顔が返ってきますよ。
また「あけましておめでとう」を意味する表現は、「フローエス・ノイエス・ヤ―(Frohes neues Jahr)!」です。
新年を迎えた瞬間からお正月気分が残る3日間ほどは、「フローエス・ノイエス・ヤ―」を耳にすることが多いでしょう。
大晦日は友人と打ち上げ花火で大騒ぎ
ドイツでの大晦日(おおみそか)の過ごし方は友人など仲のいい人たちと集まって賑やかに過ごすのがドイツ流の大晦日の過ごし方です。
家族で静かに過ごしたクリスマスとは打って変わって、大晦日は新年を迎える喜びもあって騒いで過ごします。
花火は冬の風物詩
新年を迎えた夜中の12時には、花火が打ち上げられるの見たことがある方もいるでしょう。そういえば、日本では花火は夏の風物詩ですが、夜が短いヨーロッパでは花火は夏の風物詩ではありません。
ヨーロッパで「花火」と言えば、大晦日の夜から新年にかけて打ち上げるもの。
中国の伝統がヨーロッパに伝わり、最初にヨーロッパで信念に花火が打ち上げられたのは1379年のイタリアで、ドイツでは1506年に花火が上げられたという記録が残っています。
コロナの影響で、ドイツでの2022年を迎える打ち上げ花火は禁止されています。
1月1日は祝日だけど特別なお祝いはなし
新年最初の1月1日はドイツでもおめでたい日なので祝日になっています。しかし、特別なお祝い事はありません。
新年を祝うパーティは大晦日から新年にかけてしてしまっているので、1月1日は12月31日の余韻に浸る日。
人によっては二日酔いの頭を抱えながら、だら~っと過ごしてます。
街が一番汚れる1月1日
1月1日に外に出てみれば、花火の燃えカスが路上のあちこちに落っこちていて、それはそれは汚いもの。
ヨーロッパに来て受けた衝撃な出来事のひとつがこれで、新年になって最初に外で目撃した路上の散々な様子は衝撃的なひどさでした。
1年を通して一番町が汚れているのが、1月1日ではないでしょうか。
もしもドイツで年越しを過ごすことになったら、大晦日にパーティをして大騒ぎ、お正月は外出を控えるか、あまり周りを見ないで過すのがいいでしょう。
クリスマスの飾りつけはいつ片付けるの?
1月6日以降にクリスマスの飾りつけを片付ける
大晦日のパーティですっかり忘れそうになっていましたが、ドイツでは年を開けてもクリスマスが続いていました。
お正月はクリスマスと一緒に過ごし、クリスマスは1月6日まで続きます。
1月6日は「三王来朝(Heilige Drei Könige)」と呼ばれる日で、州によっては祝日にもなっています。この三王来朝まではクリスマスと考えられているので、クリスマスの飾りつけは1月6日まで飾られて、6日が過ぎたらクリスマスの飾りつけを片付けます。
「三王来朝」とは三賢者がキリストの元に訪れる日
「三王来朝」とは、キリスト教の始祖と考えられるイエス・キリストが生まれたことを星によって知らされた三賢者がキリストの元に訪れた日です。
その三賢者の賢者は博士とも訳されることがあり、それぞれの名前はわかりません。
ただ有名なことは、この三賢者がヘロデ王の許しを得てキリストが生まれたと言われるベツレヘムに向かい、それぞれが「黄金」「乳香(にゅうこう)」と「没薬」のプレゼントを持参することです。
彼らは光り輝く星に導かれてベツレヘムに向かったというエピソードも聖書に書かれていて、キリストの誕生がただ事ではないことが伝わってきます。
ところで、三賢者はベツレヘムに向かうことをヘロデ大王の許しを得ていますが、実はヘロデ大王には3賢者を許した別の理由があったのをご存知ですか。その理由については、次の記事い触れていますので、併せて読んでみてください。
クリスマスの後片付けは1月6日後に
ドイツの新年はクリスマスの飾りつけのなかで迎えます。初めてドイツで年越しを迎える方はちょっと変な感じがするかもしれません。
大晦日に大騒ぎして、お正月はのんびりと過ごす。クリスマスの片付けは三王来朝後の1月6日以降です。
このスケジュールに慣れてくると、クリスマスの後に慌てることもなくのんびりとお正月準備ができていいというメリットも。ドイツらしい新年の迎え方も悪くないなと思えます。
ただ花火後の路上の汚さに慣れることはありませんが。
最後になりましたが、今年一年、お世話になりました。よい年をお迎えください。
Guten Rutsch und frohes neues Jahr!