なんとか間に合った…。
道が混雑していて、思ったよりも時間がかかってしまったのですが、次女が待つ家に間に合いそうです。
「出る時間は○○だよね」と確認した数分前に到着。玄関に向かって急いで歩いていると、家までもう少しというところで、次女に遭遇。
えっ、と私。
次女の表情は、清々しいです。1人で支度を済ませて、時間よりも少し前に家を出られたことで、自信に満ち足りているようです。
でも、ちょっと、待って。
唖然とした私。
家の鍵を持っていません。
しかも主人は出張中で、家の中は、もぬけの殻。
家のドアが開かないという事実を思い知った瞬間、へなへなと崩れ落ち、しゃがんでしまいました。
なんで今日に限って予定よりも早く家を出るの?
待っていてと言ったのに。
ドアには鍵が刺さっていたはず。それなのにどうして家を出てしまったの。
次女への非難の言葉が弱い声で次々と出てしまいました。
叱ってはいません。雨空のなか、私は急いで飛び出したので薄着だったので、叱るほど元気はありませんでした。
学校に行って、と次女を追い払うようにして登校させました。
彼女は「ごめんなさい」と何度も言っていました。
どうしたらいい?
1人になった私はこの場をどのようにしのぐべきなのか、ということばかりが頭をよぎっていました。
主人はいない。誰に助けを求めればいい?
そこでふと思い出したのが、数年前にもお世話になった鍵屋さんでした。
家の鍵だけでなく、携帯電話もありません。
でも、車のキーはあるので鍵屋さんまでは簡単に行けます。
午前8時過ぎ。
鍵屋さんは開いていないかもしれないけれど、その前で待てばいい。
9時までか、10時までか。
何時になるのかはわからないけれど、車の中でじっとしているよりはいい。
そう思い立ち、すぐに鍵屋さんに向かいました。
鍵屋さんのドアには営業時間は朝9時からと表示されています。
それまで待つか、と車に戻ろうとすると、店の中から人が出てきました。
開店前だというのにお店を開けてくれたのです。
そして事情を伝えると、すぐに来てくれるとのこと。
ああ、助かった。しかも、ツイてる!
それから20分もしないうちに家のドアが開きました。
「その技術、習いたい!」
鍵屋さんはお財布を一回り大きくした程度の小さな鞄を抱えていました。
ドアは閉じただけ?鍵は回していないんだよね、と確認すると、
「回されていると大変なんだよなあ」とぶつぶつ言いながら、鍵屋さんは作業を始めました。
小さな鞄からL字型の針金のようなものを取り出し、
ドアとドアフレームの間に突き刺しました。
ドアをそっとなでながら、針金も上方向へ移動させていきます。
ハイ、そう言ってドアを開けてくれました。
鍵屋さんの作業時間は、
たったの3秒。
え、こんなに速いの!
私は一瞬、間をおいて、立ち去ろうとする鍵屋さんに向かってこう言ってました。
「その技術、習いたい~」
鍵屋さんは笑いながら帰っていきました。
払った代償は大きかった
皆さん、この鍵屋さんに私がいくら払ったか想像できますか。
今回の鍵屋さんに支払った金額は、
70ユーロ。
鍵屋さん、いい仕事しています。
でも、私は今回の「鍵」騒動で支払った代償はもう一つあります。
それは、次女への悪態に対する私の反省です。
彼女が家に鍵を残して出てしまったことは悪いことではありませんでした。
一人で水筒などの準備をして、時間通りに登校したのですから、私は次女を褒めてやるべきでした。
それなのに私は、鍵がない、家に入れない、なんで鍵を残して家を出たんだ、と、次女を攻める言葉を続けて、事態の収拾にばかり気がとられていました。
私が鍵を持っていないなんてことは、彼女は想像していなかったのでしょう。
だからドアの鍵穴に刺さっていた私の鍵のことなど気にも留めなかったのです。
彼女が気にしていたことは、時間通りに一人で準備をして出かけることでした。
彼女は自分に課したミッションをこなし、気持ちも晴れ晴れとして家を後にしたのです。
そんな彼女を攻めるなんて、母親として失格です。
まだ次女は学校から帰ってきていませんが、このことは心から謝らなくてはならないと思いました。
〇 家にいる時でも、鍵はかけよう。(プロは簡単にドアを開けられます!)〇 予備キーを作成して、どこかに隠しておくこと。
いつかやる、いつかやると思って、作っていなかった予備キー。
鍵の予備を作ることを強くおすすめします。
いざというとき、本当に困りますから。
私も今日の午後、また鍵屋さんに行って鍵を作ってもらうつもりです。
予備キーを準備されていない方は、鍵屋さんへGO!
最後まで読んでいただいてありがとうございました。では、また!