いつからドイツでもハロウィンを祝うようになった?由来と祝い方

10月中旬ごろになると、かぼちゃにクモの巣、こうもりとハロウィンを連想させるデコレーションがショーウィンドウを飾り始めます。

ハロウィン、ハロウィン、でも、ハロウィン?

ばどほん

ここ、ドイツだぞ。

ドイツでハロウィンと聞くと、ちょっと違和感があるんです。なぜって、ドイツって、アメリカナイズされたものを毛嫌いする傾向があったはず。それなのに、ハロウィン⁈ 不思議です。

実際に私の周囲でハロウィンだ嬉しそうに話している人を見かけたことはありません。ただ、一部、例外的な存在が。それは子どもたち。小さな子どもたちはハロウィンを楽しみにしています。

「学校でハロウィンパーティがあるんだって!」
「10月31日はハロウィンのコスチュームを着て学校に行っていいんだって!」

と言いながら、子どもたちは大騒ぎ。子どもたちにとってハロウィンは楽しいお祭りとして定着していますが、大人たちの間では?ドイツでハロウィンはどんな位置づけのお祝いであり、どんなふうに祝われているのででしょうか。

今回は、ハロウィンの由来に始まり、ドイツでハロウィンが始まった時代や祝い方などを、私の経験をもとにまとめてみました。興味のある方は、読んでみてください。

ハロウィンの由来とは?

ハロウィンはケルト文化「サウィン」が由来

ハロウィンとはアメリカ発祥のお祝いですが、もともとはケルト文化の「サウィン(Samhain)」と呼ばれる秋の収穫祭が由来です。

「サウィン」とはケルト暦で1年最後の日とされる10月31日に祝われます。この日は、現世と来世の境界が弱まるため、死者が家族のもとに帰ってくると考えられていました。死者の霊には良い霊と悪い霊があり、悪霊から身を守るために火を焚くなどの儀式が行われていました。

ハロウィンはキリスト教が「サウィン」を取り入れて生まれたお祭り

ケルト文化の「サウィン」はある時、キリスト教の「諸聖人の日」と結びつきました。諸聖人の日とは、11月1日にキリスト教のカトリック派のお祝いで、聖人や殉教者に祈りを捧げます。

キリスト教がケルト文化のサフィンを取り入れて、諸聖人の日と結びつけたことで「ハロウィン」が生まれました。

現在のところ、ハロウィンは主にアメリカやカナダ、イギリスで祝われています。

ドイツにハロウィンが入ってきたのはいつ?

ハロウィンは90年代後半からドイツで広まる

ハロウィンがドイツで認知され始めたのは90年代の後半です。

90年代になってから雑誌や新聞などでハロウィンのことが取り上げられるようになり、クナイペ(Kneipe、居酒屋)などでハロウィンが話題となったそうです。

その一方で、ハロウィンを知って飛びついたのが、お菓子メーカーです。お菓子の需要が増やせるチャンスとあって、積極的にハロウィンを広めるための商品を発売し始めました。

ドイツでハロウィンはどんなふうに祝うの?

ハロウィンは小さな子どもから小学生くらいまでが楽しむお祝い

ドイツにハロウィンが入ってきて約20年。ドイツでどんなふうにハロウィンを祝っているかというと、子どもたちが楽しむためのイベントとして定着しました。

園児から6年生くらいまでの子どもたちが、ドラキュラやモンスターなど怖い衣装を身に着けて、家々を回ります。そこでお菓子をたくさんもらい集められる仮装イベントです。

子どもからすると、仮装ができてお菓子がもらえるんですから、楽しくってしょうがありません。しかも暗くなってから出かけるなんて、普段ではありえない機会かもしれません。

ハロウィンで配られるのは駄菓子

ハロウィンで子供たちがもらえるお菓子は駄菓子です。時々大盤振る舞いで、紙パックに入ったジュースをもらえたりしますが、もらえるお菓子のほとんどが駄菓子で、次のようなものが多いでしょう。

  • 小袋分けされたグミ
  • チョコレート
  • キャンディー
  • ガム、など。

駄菓子のデザインが工夫されていて、パッケージにはこうもりやかぼちゃの顔をしたジャック・オ・ランタンなどがデザインされています。こうしたハロウィン駄菓子は10月初旬ごろから店頭に並び始めます。

お菓子をもらえる家はハロウィンのデコがある家に限定

ハロウィンの日にお菓子をくれる家は、ハロウィンのデコレーションがしているおうちです。また、ハロウィンを楽しむ子どものいる家なら、ハロウィンのデコレーションがなくてお菓子がもらえる可能性は大きいでしょう。

ドイツでは、ハロウィンを祝うのは子どもだけという傾向がありますから、子どものいない家ではハロウィンは無関係という場合がとても多いです。そのため、ハロウィンでお菓子をもらいたいならハロウィンのデコレーションをしているハロウィンを楽しもうという姿勢がしっかり見えている家か、友だちの家が無難でしょう。

典型的なハロウィンのデコレーション

ハロウィンのデコレーションとは、手作りのジャック・オ・ランタンは典型的なデコのひとつです。大きなオレンジ色のかぼちゃが顔型にくりぬかれていて、ランプのようにろうそくの灯が揺れています。このジャック・オ・ランタンは玄関先に置かれます。また他には、蜘蛛の巣や蝙蝠などのおどろおどろしい装飾が、窓際に飾り付けられます。

派手目のデコレーションが多いので、ハロウィンの日に歩いていれば、すぐにお菓子をくれそうな家を見つけられるでしょう。

自宅でハロウィンパーティ?

私の知る限りですが、ドイツではハロウィンは子どもたちが仮装をしてお菓子をもらいに家々を訪ねるイベントです。学校などでハロウィンパーティと称してクラブ風なイベントをすることはあるようですが、自宅でハロウィンパーティをするという噂は聞いたことがありません。

もしかしたらドイツ人家庭でもハロウィンパーティをしているご家庭もあるのかもしれませんが、10年以上ドイツに住んでいる私でさえ、見たことも聞いたこともありません。

ドイツで「トリック・オア・トリート!」はなんて言う?

「ズーセス・オダ・ザワレス」がハロウィンの決まり文句

ハロウィンで子どもたちがお菓子欲しさに唱える呪文は「süßes oder saures」です。カナに置き換えると「ズーセス・オダ・ザワレス」になりますが、その意味は「甘いのか、酸っぱいの」です。

「甘いの」はお菓子のことで、「酸っぱいの」には「いたずら」という意味が隠されています。つまり、「süßes oder saures」を子どもの気分で訳すなら、「お菓子が欲しいよ。お菓子をくれなきゃ、いたずらしちゃうぞ」になるでしょうか。

お菓子かいたずらか。どちらかと聞かれたら、いたずらは嫌ですから、お菓子をあげたくなりますよね。

まとめ

ハロウィンはアメリカから入ってきた仮装イベントです。ドイツでもここ20年ほどの間に定着してきましたが、子どものためのイベントです。お化けなどのホラーチックな仮装をして、家々を回りながらお菓子をもらう。その時の合言葉は、「ズーセス・オダ・ザワレス」。治安のいい場所でこそできるイベントだといえるでしょう。