くしゃみをしたときに “Gesundheit!”と言う理由は?返し方・英語”Bless you”との違い

道端でくしゃみをしたとき、道すがら見知らぬ人が”Bless you!”と声をかけてくれました。あら、英語だと思った私は頭をフル回転させて小声で”Thank you!”と返事をしました。

くしゃみをした相手に健康を気遣って何かを言うという習慣は、日本にはないですよね。ドイツでは「Gesundheit!」と言う習慣がありますが、英語圏で使われる「Bless you!」とはニュアンスが違います。

今回は、くしゃみをした人に声をかける欧米の習慣について、またくしゃみをしたときにつかわれるドイツ語の「Gesundheit」と英語の「Bless you」の意味の違いも紹介します。

なぜ欧米ではくしゃみをした人に声をかけるの?

くしゃみをした人が健康でいてほしいから

誰かがくしゃみをしたときに、ドイツ語圏では“Gesundheit!”と言いますが、その理由はくしゃみをした人が健康でいてほしいからです。

“Gesundheit”とは健康という意味ですが、この場合の日本語の意訳は「お大事に」となるでしょう。

保険会社Barmerの専属医師ウタ・ペトツォールドさんによると、「かつて人がくしゃみをすると「お大事に」と声をかけて、その人が健康でいられることを願っていた」と語っています。

くしゃみをするということは、その人が病気になりかけている証拠かもしれません。そんな相手をいたわって「お大事に」と声をかけて、「元気でいてね」「病気にならないでね」というメッセージを送っています。

この習慣の始まりは、ペストが流行した時代にまで遡ります。ペストにより多くの人が病に苦しんだ経験が、相手の健康を気遣う習慣ができたのでしょう。

知らない人にも声をかける習慣がある

くしゃみをした人に声をかけるのは、知っている人に限りません。見ず知らずの人にでも声をかけます。

たまたま乗り合った電車の中で見知らぬ人がくしゃみをしたら、そのそばにいる人は“Gesundheit!”と言っているのを見たことはないでしょうか。他人どうしても相手の健康を気遣っているのです。

もしも“Gesundheit!”と言われたら“Danke”と返す

くしゃみをして誰かに“Gesundheit!”と言われたら、“Danke”と言ってあいさつするといいでしょう。軽く返事をする程度でかまいません。

相手への感謝の気持ちを表して、“Danke”(意味:ありがとう)や“Danke schön!”(意味:どうもありがとう)と返せば、相手も安心してくれます。

ドイツ語の“Gesundheit!”と英語の”Bless you”の違いとは?

“Gesundheit!”と”Bless you”の違いは由来

ドイツ語の“Gesundheit!”と英語の”Bless you”はどちらも日本語に訳せば「お大事に」になるでしょう。しかし違いもあります。ドイツ語の“Gesundheit!”は「健康」という意味の言葉ですが、英語の”Bless you”は「神のご加護を」という意味で宗教的な背景から生まれた表現です。

ドイツ語 “Gesundheit”の意味は「健康」

“Gesundheit”の意味は「健康」です。ドイツ語の辞書DUDENによればよく詳しく解釈されています。

” Zustand oder bestimmtes Maß körperlichen, psychischen oder geistigen Wohlbefindens; Nichtbeeinträchtigung durch Krankheit”

引用:https://www.duden.de/rechtschreibung/Gesundheit

この引用箇所は、「身体的、心理的、精神的にいい状態。また、病気による障害はない状態」という意味になります。

つまり、“Gesundheit”には「健康」という意味ですが、くしゃみをした人に“Gesundheit”が使われたときのように「お大事に」という意味合いはありません。ただし、くしゃみをした人に“Gesundheit”と声をかけることで、相手の健康を気遣う気持ちを表すことになり、日本語訳として「お大事に」が使われます。

英語の “bless you”の意味は「神のご加護を」

“bless you” は “God bless you”を省略した表現で、その意味は「神のご加護を」です。“bless you”は、くしゃみをした人に対して、または誰かが親切にしてくれた時に感謝の気持ちを伝えるためのイディオムです。

なぜくしゃみをした人に神様から守ってもらえますようにという意味合いの言葉をかけるのかというと、かつて迷信的な時代にくしゃみをすると魂が肉体から離れてしまい、その魂を悪魔に取られないように守ってほしいと神に祈るという考え方がありました。その考え方の名残として、今でもくしゃみをした人に”Bless you!”と言うようになりました。

【参照】
https://www.theguardian.com/lifeandstyle/2011/feb/14/why-do-we-say-bless-you-notes-queries

くしゃみをしている人がいたら”Gesundheit!”と言おう

くしゃみをしている人を見かけたら、”Gesundheit!”と言ってみましょう。最初は少し勇気がいるかもしれませんが、相手の健康を願う素敵な習慣です。郷に入っては郷に従うというように、ぜひ試してみてください。

また英語がわかる人には”Bless you!”です。神さまにその人の魂を守ってもらうようにお願いしてあげてはいかがですか。きっと「ありがとう」と言ってもらえると思いますよ。