お隣の国フランスで、30年ぶりになる女性の新首相が指名されました。
その方の名は、エリザベット・ボルヌ氏。
前職は労働大臣で、これまでにシラク政権下で運輸担当技術顧問や都市計画総局長などを歴任。現マクロン政権では、交通担当相、環境相も務めてきた人物です。
このニュースが飛び込んできたときに、ふと疑問がよぎりました。
「フランスの首相って何する人?」
フランスにはマクロン大統領がいて、大統領が行政を行っているはず。では、フランスの首相はドイツの大統領的なポジションなの?それとも、もっと違う役割?
疑問がいろいろと湧いてきてしまったので、
無知なだけなんですけど…
今回は【祝!ボルヌ新首相】ということで、フランスの大統領と首相の役割の違いを整理してみたいと思います。またフランスの政治制度「半大統領制」の意味や、大統領と首相がどのような力関係にあるのかも解説していきますので、参考にしてみてください。
フランスの「大統領」と「首相」の違いとは?
大統領と首相の違いは「与えられている権限」が違う
フランスの大統領と首相では、与えられている権限が違います。大統領には、首相や閣僚の任免権のほかに、議会の解散権や条約批准権など、政治的に重要な決定をできる権限が与えられています。
その一方で、首相に与えられている権限は、大統領が任命しない文官や武官の任命権です。それ以外の職務については、特に権限として要していません。首相は、国民議会に対する責任があるので、大統領に議会の開催や解散などの提案を助言することができます。
フランスの大統領の役割と任期
フランスの大統領は、国の政治をけん引して外交にも着手します。
フランスの大統領にはさまざまな政治的な権限が与えられています。例えば、首相や閣僚ほかに、国務院や会計院の評定官や大使などの任命や免職ができます。議会を解散することもできれば、条約の批准も行えます。
なお、フランスの大統領は国民による直接選挙で選ばれて、任期は5年です。
フランスの首相の役割
フランスの首相の主な役割は、議会に対して責任を負うことです。首相は内閣を主宰して、大統領から提案された施策案を検討します。その後、施策案を議会で説明して質問などを受けつけながら、実施できるように導きます。首相は内政において大統領の参謀的な位置づけになり、議会の開催や解散の助言をすることもできます。
他には、各大臣が行っている業務に対する総括のほかに、文官や武官の任命権もあります。
なお、フランスの首相は、大統領によって指名されます。
「半大統領制」とはどんな政治制度?
「半大統領制」とは大統領と議会が政治を行う制度
フランスの大統領は多くの権限を持ち、国の政治を引っ張っていくことができる一方で、フランスでは議院内閣制も取り入れられています。つまり、「国民議会」と呼ばれる下院議会と大統領がひとつになって、国の政治を行うのです。
このような政治制度を「半大統領制」と呼びます。
ところで、日本は?
日本の内閣総理大臣の権限は、国務大臣の任免権と閣議で決定した施策を指揮する権限です。フランスの大統領が与えられているような権限は持っていません。
大統領と首相では、えらいのはどっち?
政治的な権力が強いのは「大統領」
フランスにおいて大統領は国家元首になり、大統領の方が政治的な権限が強くなります。例えば、首相や大臣の任命や辞任、国民議会の解散などの権限は、大統領が持っています。
他にも次のような権限を持っています。
- 軍の指揮権
- 国会議会の解散権
- 条約の批准権
- 法律や条約の改正案を直接国民に意見を求める国民投票権、など。
それに対して、首相は政治に直接影響が出るような権限は持っていないため、政治における力関係では、大統領の方が首相よりも上だと言えるでしょう。
まとめ
フランスの大統領と首相では、大統領が政治的に大きな実権を握っていて、首相はそれをサポートする立場にあると言っていいのではないでしょうか。
大統領と首相が全く違う政治倫理だとするとねじれの現象が起きて、それを保革共存という意味の「コアビタシオン(cohabitation)」と呼ぶそうです。
大統領と国民議会によって政治が行われる「半大統領制」という制度も興味深く、国によって政治の仕方に大きな違いがあることに気づかされました。
今日のレポートはここまでです。
最後まで読んでくださってありがとうございました。では、また!