「補習校」とは?補習校をやめたいときと続けている理由

この記事では「補習校」の特徴に併せて、私たちが補習校をやめたいときと補習校を続けている理由を紹介します。
「補習校」は海外に住む子供たちが日本語を学べる貴重な場所。私の子どもたちもドイツの補習校に通っています。毎週土曜日に授業があり、小学部は午後13時から17時ごろまで、中学部の終業時間は小学部と同じ17時ですが、午前10時過ぎから授業が始まります。
補習校にはただ通えばいいというわけではなく、宿題もあるため「やる気」と「根気」がなくては続けられません。
こんなに忙しいなら補習校をやめればいいのにと思ってしまうこともあります。それなのに、なぜ私たちは補習校を続けているのでしょうか。

今回は、補習校とはどんな学校なのかを説明して、私や子供たちが補習校をやめたいと思うときと続けている理由も考えてみようと思います。

「補習校」とは?

「補習校」とは「日本の学校に適応するための学校」

「補習校」とは、海外にいながら子どもが日本語を勉強できる学校ではあるのですが、それでは少し説明が足りません。正しくは、「補習校」とは「海外で生活する児童が日本で暮らし始めたときに、スムーズに日本の学校に適応できるようにすることを目的とした学校」です。

補習校は単に日本語ができるようになるための学校ではないのですね。日本に戻ってすぐに日本の学校に馴染めるように、日本語力を身につけて、日本文化を知るための学校です。

日本の学校と同じ教科書を使いながら学習を進める

教科書は日本の学校で使われている教科書を使いながら学習を進めていきます。

日本語学習の進め方については、文部科学省は次のように規定しています。

  • 補習授業校の勉強をしっかりやること。
  • 家庭内では日本語を使うこと。
  • 日本語の本を読むこと。

参照:文部科学省のHP:『CLARINETへようこそ「1 補習授業校の性格」』

補習校の教育方針はハードルが高い

このように説明すると、補習校についてどのように思われますか。

補習校のコンセプトからすると、将来帰国予定のある日本人に適した学校だと思います。

でも、海外に生まれて、海外で育っていく子どもにとってはどうなのでしょうか。

日本に帰って住む予定がない海外生まれで海外育ちの子どもにとっては、補習校のコンセプトはハードルの高い教育方針のように思われます。

補習校は大変?

補習校がない日も忙しい

補習校がある日は半日か、それ以上の長さの授業に出席しなくてはいけないので、ほかの予定は入れられません。

でも、補習校に通う子供たちは補習校のない日も忙しくしています

私の子どもたちが通う補習校では、毎日の課題として漢字学習と音読を出しています。ほかの宿題として、ワークブックやプリント、作文もあります。

宿題をうまく振り分けてやれればそれほど多い量ではありません。でも現地校の課題や宿題と両立しようと思うと、補習校の宿題をやるための時間を確保することは簡単ではないのです。

ばどほん

我が家の場合、原稿用紙1枚分程度の作文でも、アイディアをまとめて、構成して、下書きして清書という順でやっていくと、1時間以上はかかってしまいます。

補習校の宿題にはやる気と根気が必要

補習校の宿題をするためには、やる気と根気が必要です。

一日の大半をドイツ語で過している子どもたちにとって日本語の教材を使った学習は簡単ではありません。いくら小さなころから日本語を話したり聞いたりしていても、読んだり書いたりすることは別次元のことです。

日本語の課題をこなそうとするやる気がなくてはこなせませんし、また続けなくてはあっという間に忘れてしまうので、毎日日本語に触れる根気も大切です。そのためのサポートと時間作りはなかなか大変です。

補習校をやめたくなる理由

私のイライラが半端ない

こんなに大変なら補習校をやめた方がいいんじゃないかと思うときがあります。子どもが宿題をこなせなくてイライラするだけではありません。私の方もイライラするからです。

宿題をしてほしいから子供たちにガミガミ言うようになりますし、毎日のように「音読やった?」「漢字やった?」と聞かなくてはいけません。

また本当は思ってはいけないことなのですが、「なんでこんな簡単なことがわからないの」「こんな簡単な漢字をどうして読めないの」と思ってしまって、イライラしてしまいます。

子どもが補習校をやめたいと思うとき

私の子どもたちが補習校をやめたいなと思うときは、次のような状況です。

  • 補習校の宿題がこなしきれないとき
  • 漢字が難しくて教科書をうまく読めないとき
  • スポーツの試合など、習い事で開催されるイベントに参加できないとき
  • 招待されたお誕生日会に行けないとき

私が補習校をやめたいと思うとき

私が補習校をやめてほしいなと思うときは、次のような状況が挙げられます。

  • 子どもが宿題をこなせないとわかったとき
  • 簡単な漢字も読めないとわかり補習校に通う意味がないのではないかと思うとき
  • 補習校のことで親子げんかをするとき
  • 補習校の宿題にてこずる子供を見てイライラするとき
  • 何度も同じ説明をさせられるとき

それでもどうして補習校を続けるのか

日本に行ったときのいい思い出がモチベーションになっている

子どもたちは補習校をやめたいと思いそれを口にしたことが何度かあります。私ももうやめたらいいと言ったことがあります。でも、なぜか補習校をやめるという決断ができません

子どもたちにどうして補習校を続けるのか聞いたところ、こんな答えが返ってきました。

「日本語は必要ないと思うけど、ママが日本人で、じいじとばあばが日本に住んでいし、直接、じいじやばあばと話したい。それから、日本の学校にも行きたい」

日本の学校に体験入学した子どもたちは、そこで貴重な経験をしたようです。日本式の授業に、新しいお友だちとの出会い。わからないことも多かったし、ハーフだということで白い目で見られたこともありますが、楽しい経験の方が勝っています。

また祖父母と一緒に過ごせた時間も楽しかったようです。

日本に行ったときの記憶。日本でのいい思い出。これが補習校を通い続けているモチベーションになっているようです。

補習校に行かなくなったら日本語を勉強しなくなることを自覚している上の子は、補習校をやめたいなと思ったことはあっても、補習校をやめたいと言い出したことはありません。

他に興味があることが見つかるまでは補習校に通ってほしい

私はいつでも補習校はやめてもいいと思っています。なぜなら日本語を学ぶ機会は補習校だけではないですし、日本語学習は将来、日本語に興味を持った時に始めてもいいと思っているからです。

ただ日本語を勉強するのが嫌だから補習校をやめるというのではなく、日本語学習以外に興味を持てることが見つかったから、という理由で補習校をやめてほしいと思っています。

補習校をやめてできた時間を自分のために使ってほしい…。これが私の願いです。スポーツでも楽器でも、なんでもいいのです。夢中になれるものを見つけてほしいと思っています。

もしも子供たちが補習校をやめる時が来たときには、私はひとり、岐路に立たされることになるでしょう。
せっかく身に付いた子どもたちの日本語力をキープできるようにどのようにサポートしていくのか、それとも日本語とはきっぱりとおさらばしてサポートなどと考えないようにするのかという岐路です。

まとめ:補習校はやめるなら夢中になれるものを見つけて

日本語が学べる補習校に通うことは一筋縄ではいきません。もうやめようか、続けようかと葛藤することも多いです。ですが、補習校をやめないほうがいいという気持ちが子供たちにある限り、補習校に通うことになるでしょう。

もしも補習校をやめることになったら、それはそれで子供たちにとって新しいスタートになり、私は子どもたちに日本語学習を続けさせるかどうかの問題で頭を悩ませることになりそうです。

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