【ドイツ】ギムナジウムの特徴とは?なぜ8年制と9年制があるの?

この記事では、ドイツのギムナジウムの特徴や種類、8年制(G8)と9年制(G9)がある理由も解説します。
「ギムナジウム(Gymnasium)」とは、ドイツの小学校を卒業した後に進学する学校ですが、聞きなれない名前で、どのようなタイプの学校なのかわかりにくいですよね。
簡単に説明すると、「ギムナジウム」は最終学年に大学に入学するための資格試験「アビトゥーア」のある学校で、大学などの高等教育機関に進学したい場合には欠かせない学校です。
しかし、学校によっては8年制や9年制の学校があるなど、そのシステムは全国一律ではありません。
日本で中学や高校が3年制の学校があったり、4年制の学校があるなんて考えにくいですよね。では、なぜドイツでは学校に行く期間が違うのでしょうか。

今回は、ドイツのギムナジウムの特徴と種類のほかに、ギムナジウムに8年制(G8)と9年制(G9)がある理由も解説します。

【この記事をおすすめの方】
〇 ドイツのギムナジウムの特徴を知りたい方。
〇 これからドイツのギムナジウムに子供を進学させたいと思っているママやパパ。

「ギムナジウム」の特徴とは?

「ギムナジウム」は大学卒業資格を目的としている学校

「ギムナジウム(Gymnasium)」とは、大学への入学の橋渡しとなる位置づけの学校です。小学校を卒業してから大学入学までの8年間または9年間通う学校です。

最終学年では「アビトゥーア(Abitur:略して「アビ(Abi)」)」と呼ばれる卒業試験を受けて、その成績と学校の成績をもとにした卒業時の成績で大学などの進学先に出願します。またギムナジウムの卒業時の成績は、就職時に提出することもあるので大切な試験です。

「ギムナジウム」の語源は、古代ギリシアの「ギュムナシオン」です。青年が乗馬や陸上、格闘技などをするためのスポーツ施設のことを「ギュムナシオン」と呼びました。

授業料はなし

ギムナジウムの授業料はありませんしかし、学校の授業で必要となるものや、実習材料や遠足などの費用は個人で支払います。

日本の学校のように教科書が無料で配布されることはありませんが、教科書レンタル制なので、無料で借りられます。

ばどほん
教科書がレンタル!初めて知った時には、目がテンになりました。

クラス単位で行われる実習や遠足の費用は、クラスで徴収されることになるでしょう。

私の子どもたちが通っている学校では、ドイツではクラス費の徴収は父兄から選出された学級委員のお仕事です。銀行口座を開設することから始めているのを見て、父兄の協力でクラスが運営されているのだと実感しました。

1クラス約25人

ギムナジウムの1クラスの生徒の数は25人前後です。日本の小・中学校のクラスの基準は40人ですから、日本の学校に比べるとずっと少なく感じられます。

私の子どもの行くギムナジウムはマンモス校で、入学時のクラスの人数は32人でした。このことを義理の両親を伝えると、目を見張るほど驚いていました。

「ギムナジウム」の種類とは?

8年制と9年制の学校がある

ドイツのギムナジウムには、8年制と9年制の学校があります8年制は「G8(読み:ゲーアフト)」と呼ばれて最終学年は12年生で、9年制は「G9(読み:ゲーノイン)」と呼び最終学年は13年生になります。

どのタイプのギムナジウムがあるのかは州によって違い、8年制のみの州や9年制のみの州、また両方ともある州があります。

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ギムナジウムには共学校と女子高がある

多くのギムナジウムが公立で共学ですが、女子高もあります。女子高のギムナジウムは私立でカトリック系の学校が多く家庭科など共学校ではあまり見られない科目を取り入れている学校もあります。

女の子がいる家庭は女子高も選択肢の一つ。私の周りでは、女子高の方が安心、先生の目がよく行き届くなど評判のいい学校があります。

なぜギムナジウムには8年制と9年制があるの?

国際的なスタンダードに合わせるため

かつてドイツでは、9年制のギムナジウムしかありませんでした。しかし、この教育期間はほかの先進国よりも1年長いため、2002年頃から数年かけてドイツのほとんどのギムナジウムを9年制から8年制へと移行しました。

8年制のメリット

ギムナジウムが8年制にするメリットは次のようなことが挙げられていました。

8年制のメリット

  • ドイツの教育システムを国際的なスタンダードに合わせられる。
  • 就職するタイミングも早くなるので、ドイツ経済にメリットがある

ドイツが国際標準の教育期間になれば経済的に潤うことも考えられるのですが、メリットはそれだけではなく、生徒も集中して教育を受けられるので、大学などの次のステップへと早く進められることも挙げられます。

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日本と比較しても、9年制では日本の小学校から高校卒業までの期間よりも1年長くなります。G8なら同じになりますね。

8年制から9年制へと戻す動き

しかしギムナジウムを8年制から9年制へと戻そうとする動きが近年、起きています。

2013年にヘッセン州が8年制と9年制のどちらかを選べるという方式に切り替えてから、ニーダーザクセン州やバイエルン州では、ではすべてのギムナジウムを8年制から9年制へと戻しました。

ギムナジウムを8年制にした理由

ドイツ教育をテーマにしているwebサイト「ドイチェ・シュールポータル(das Deutsche Schulportal)」によると、8年制と9年制を卒業した学生に違いがあるかどうかについて、科学的な根拠は示されていないとしています。

その一方で、ノルトラインヴェストファーレン州に関してですが、9年制から8年制にしたことで次のようなデメリットがあると発表しています。

8年制のデメリット

  • 生徒がストレスを感じている。
  • 学位を取得する頻度が低くなっている。
また、ギムナジウム卒業後すぐに大学進学をしないで、海外に留学したり奉仕の期間を設けたりしています。さらに8年制になったことで、ドイツ経済への影響があったかどうかは不明だとしています。

こうした8年制への懐疑心からニーダーザクセン州やバイエルン州では、ギムナジウムを9年制に戻しました。その一方で、8年制のメリットを評価している州もあるので、8年制だけがある州もあれば、8年制と9年制の両方のギムナジウムがある州もあります。

参照
Kai Maaz und Jessica Ordemann(2018) “G8 versus G9:Über den Sinn und Unsinn der Abi-Reformen”deutsches-schulportal.de
https://deutsches-schulportal.de/expertenstimmen/g8-versus-g9-ueber-den-sinn-und-unsinn-der-abi-reformen/
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まとめ

「ギムナジウム」は大学に進学するための学校です。学校によって、また州によって8年制か9年制の学校があります。8年制から9年制へと移行する動きがある一方で、8年制を継続する学校や州もあり、それぞれが見解が分かれます。

8年制か、それとも9年制か、どちらかを選べる状況のときは、それぞれのメリットとデメリットを考えながら、該当するギムナジウムの特徴とお子さんの性格なども吟味して、総合的に判断するのがいいでしょう。

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