ガス料金・電気料金の大幅値上げが確定しているドイツで、この冬をどのように乗り切るのかは、どのご家庭でも話題になっているのではないでしょうか。いくらドイツ政府が補助金を出してくれると言っても、例年以上の光熱費を支払うことになるでしょう。
では、どんな方法で節約できるのでしょうか。
光熱費の節約方法には、まめに電気を消すとか、シャワーの回数を減らすとか、または室温を下げるなどが挙げられます。
我が家では単純明快、「暖房を入れない」という選択をしました。
最高気温が12度、最低気温はほぼ0度近いこのフランクフルト近郊で、暖房を入れずにどこまで過ごせるのかチャレンジ中です。
最初に暖房を入れたいと言い出したのは?
暖房を入れたいと言い出したのは「私」
そんな中で最初に音を上げ始めたのは、かの言う「私」です。
だって、寒いです、本当に
窓の外の景色を見れば、室内の寒さにも拍車がかかるというもの。ねずみ色の天気に、冷え冷えとした部屋。もう寒いったらありゃしません。
「寒いよ、そろそろ暖房入れよう」と、子どもたちにぼやいたところ、2人とも私の申し出を簡単に反論してきました。そのそれぞれの答えが、感慨深いと言いますか、興味深いことに思えて、私はこの2人の答えを励みに、もうしばらく暖房なしでやってみようかと思った次第です。
暖房を入れなくてもいいかと思えた2人の答え
次女「私だって靴下を重ねて履いてるんだから!」
最初に私が暖房を入れようよと言ったのは、次女の方でした。彼女は人に共感しやすいというか、同調してくれるとことがあり、次女に言えば、「そうだよね、寒いよね」「暖房入れてもいいよね」と言ってくれそうな気がしたからです。
ところが彼女の答えは、「何言ってるの!」とはなっから強く反論してきました。
「じいじとばあばが来るまでの我慢だよ。じいじとばあばが来たら暖房を入れてもいいよ。でも、それまではダメ!私だって靴下2枚履いてるんだから」
私の両親が今年の冬に日本から来る予定になっているのですが、それはクリスマスのことです。それまであと1カ月以上。そんな長い間、暖房なしで過すつもりのようなのです。
そんな具体的な計画を立てていたとは露知らず、驚かされたのですが、それ以上に彼女の暖房を入れない、絶対に入れさせないとする気迫に圧倒されました。
彼女も靴下を重ね履きして頑張っている模様。そこまで頑張っているのなら、私もこの寒さに耐えるべきなのかという思いがすこしよぎったのですが、それはほんのわずかなこと。
「でも、本当は寒いんでしょ」と私は注意深くもう聞いてみると、「うん」と小さな答えが返ってきました。そして、
「でもそれほどじゃないよ。十分、耐えられるよ」
涙ぐましい努力です。家計思いの次女に感心しながらも、そんな思いにまでさせる某国の某大統領に腹が立ってきました。
長女「さわやかじゃない」
次女を説得しきれなかった私はリベンジに長女に聞くことにしてみました。「寒くない?」と聞くと、彼女は、
「さわやか(fresch)じゃない」と笑顔で返してきました。しかも肩にかかった髪を片手で後ろにさらっと払いながらです。なんとさわやかな構図でしょう。一瞬、そこに春風でも吹いてきたかのような錯覚を覚えました。
暖房費を節約するのもただ我慢して寒さに震えるのではなく、視点を変えて高原にいるかのような気分で過せば、この寒さも涼しさに変えられるのだと娘から学びました。
完敗です。暖房を入れることを諦めました。
ただじっと部屋の中にいると風邪を引きそうなので、次女のように靴下の重ね履きか厚手の靴下を履き、外出するわけでもないのにヒートテックを着ることにしました。ヒートテックのありがたみを心から実感できたのが、まさか我が家のリビングルームだとは思ってもみませんでしたが、凍えるような感覚からは解放されました。
また、それでも寒い時もたまにはあり、そんな時は湯たんぽを片手に、もう片方の手には温かいお茶の入ったカップを欠かさず持つようにしました。
こうしてやっとここ数日はなんとか過ごせるようになったのです。
暖房費を節約するために暖房のスイッチを切るか、または普段よりも温度を低めに抑えているのなら、靴下の重ね履きをするか、夏の高原にでも来ているのだと思い込んでみてはいかがでしょうか。かなりたくましい想像力が必要になるでしょうが、もしもそれが成功すれば、この寒い冬も凍えることなく乗り切れるかもしれません。
それが難しければ、ユニクロまでヒートテックを買いに走るか、日本から送ってもらいましょう。
最後まで読んでくださってありがとうございました。