ドイツの小学校やギムナジウムなどは1年度が2期に分かれていて、その前半期と後半記のおわりに成績表(Zeugnis)を受け取ります。ドイツの成績は6段階でつけられて、一番いい成績が「1」になります。では、「1」とはどんな意味なのでしょうか。
今回は、ドイツの学校の成績表の成績のつけ方と成績の意味を解説します。また、小学校とギムナジウムのそれぞれの主要科目も紹介します。
ドイツでの育児経験での私見とともに解説していきますので、こういう考え方もあるのかと参考までに読んでいただけると嬉しいです。
ドイツの学校の成績のつけ方
【基本】6段階評価で「1」が一番いい成績
ドイツの学校の成績は、1から6までの6段階でつけられます。日本の成績とは違い、数字が小さいほうが良い成績と言うことになり、6段階中1番いい成績は「1」になります。
ドイツの成績評価1~6の意味
成績評価 | 評価 | 意味 |
1 | Sehr gut (非常に良い) | 学ぶべきことを十分以上に学んでいる |
2 | gut (良い) | 学ぶべきこと学んでいる |
3 | befriedigend (満足な、良好な) | 学ぶべきことを概ね満たしている |
4 | ausreichend (十分な) | 達成していないこともあるが、基礎知識は学べている |
5 | mangelhaft (不十分な) | 達成できていない。基礎知識は学べているので、不足分を改善できる可能性がある |
6 | ungenügend (不十分な、不可の) | 達成できていない。基礎知識が不十分で、その不足分を満たせる見込みもない |
参照:https://www.schule-und-familie.de/familie/tipps-fuer-schule-und-erziehung/zeugnisnoten-in-der-grundschule.html
日本の成績と比較すると、次のようになるのではないでしょうか。
ドイツの成績 | 日本の成績 |
1 | 5(秀) |
2 | 4(優) |
3 | 3(良) |
4 | 2(可) |
5、6 | 1(不可) |
ドイツの成績で5か6を取ると該当の科目をしっかりと学ばなかったとして、学校から個別に連絡がいったり、留年を視野に入れた話し合いがもたれたりすることがあります。
筆記試験の結果と授業中の態度から成績がつけられる
ドイツの学校の成績は、筆記試験の結果と授業中の態度の総合評価として成績がつけられます。
授業中の態度とは、どれほど積極的に授業に参加しているのかを意味しているのですが、挙手して意見を言った回数が目安となります。また学年が上がると、単にたくさん発言をしただけでは評価されずに、難しい質問に対してどの程度発言できたのかなども評価の対象になります。また、宿題をしてきたかどうか、授業で使われる教科書やノートなどを持ってきたかなども評価の対象です。
主要科目の「筆記試験の結果」と「授業中の態度」は5:5の割合
私の経験では、主要科目の場合、「筆記試験の結果」と「授業中の態度」は5:5の割合で評価されて、成績がつけられます。つまり、筆記試験と十行中の態度の重要度は同じだということです。また、副教科だとその割合が5:5のこともあれば3:7のということもあり、授業中の態度のほうが筆記試験よりも重視されるケースもあります。
例えば、筆記試験の結果と授業中の態度の割合が5:5だとすると、筆記試験の平均が「2」で授業中の態度が「3」なら、成績表には「2」と「3」の両方の可能性があります。
一方、筆記試験の結果と授業中の態度の割合が3:7だとすると、筆記試験の平均が「2」だったとしても授業中の態度が「3」ならば、成績表には「3」がつけられます。
日本で教育を受けた人の感覚として、筆記試験の結果よりも授業中の態度の方が重視されるという評価づけは不思議な感じがするかもしりません。でも、ドイツの教育では授業中の態度が重視されることもあり、生徒の積極的な授業態度が求められます。
ギムナジウムならアビトュア(Abitur)の成績が大切
学校の成績でどの学年の成績が大切かと言うと、子どもがギムナジウムに通っているのならアビトュア(Abitur)の成績が最も大切だと考えられています。なぜかというと、アビトュア(Abitur)の成績で大学や専門学校などの入学するときに評価対象となりますし、また就職時でもアビトュア(Abitur)の成績の提出を要求する企業もあるからです。
まだお子さんが小学校、または5年生から9年生程度なら成績が良いに越したことがありませんが、たとえ成績が悪くても、アビトュア(Abitur)で挽回できれば、その後の進学または就職に影響することはありません。
アビトュア(Abitur)はこれまで習ってきたこと全てが試験対象になるのではなく、例えば歴史ならばある時期が限定されて、またドイツ語ならある作品の解釈など、試験範囲が限られます。つまり、アビトュア(Abitur)の限定された試験範囲内で納得のいく成績が取れれば、それ以前の成績が悪くても構わないと考えられます。
そのため、アビトュア(Abitur)以前の成績表であまり一喜一憂することなく、お子さんの学習状態を見守ってあげる姿勢も大切でしょう。
小学校とギムナジウムの主要科目の違い
小学校の主要科目はドイツ語・算数・生活科
ドイツの小学校主要科目は、ドイツ語、算数、一般教育科や生活科などと訳されるSachunterrichtの3科目です。Sachunterrichtは、社会や理科を中心に構成されている科目です。
ドイツ語と算数は各学年で学ぶべき課題がどの小学校であってもほぼ変わらないのですが、Sachunterrichtについては担当する先生によって違います。課題は動物のことや生活環境のこと、または小学校のある地域のことなどさまざまです。先生によって学習内容が変わることから、同じ学校に通っている兄弟でも、担当教諭が違うことで学ぶ内容が違うことがあります。
ギムナジウムの主要科目はドイツ語・数学・第1外国語と第2外国語
ギムナジウムであれば、主要科目は、ドイツ語、数学、第1外国語と第2外国語です。第1外国語に英語を選択されている生徒が多い一方で、ラテン語など別の言語を選択している生徒もいます。そのため主要科目は第1外国語だけでなく第2外国語も主要科目のひとつになります。
まとめ
ドイツの成績表は1から6までの6段階評価で、1~4の科目は合格ラインとなりますが、5または6だと進級を危ぶまれる可能性のある成績です。担当科目の先生の主観にも左右されることはありますが、できることなら4以上の成績は取れるように学習するのがいいでしょう。成績は筆記試験だけでなく授業態度も大切な評価対象ですから、授業中は積極的に手を挙げるように頑張ってみるというのが、ドイツで成績を上げるポイントかもしれません。
ただしギムナジウムに通学している場合、最も大切な成績となるのがアビトゥア(Abitur)の成績ですから、Abiturを受けるまでの時間をうまく使って成績を上げる、または維持することを念頭にしておくのがよさそうです。