夏休みまであと3週間ばかり…。「指折り数えたらもう夏休み」と呼ぶにはまだ早い時期ですが、ギムナジウムに通う子どもたちはすっかり夏休み気分です。
学年度末まではまだ3週間残ってるのよ。テストだってあるでしょう?
子どもたちの答えは、「全部、終わった~!」
夏休みまでまだ数週間あるのに、テストもすでに終わっているというのです。夏休みまでの数週間、子どもたちは学校で何をするのでしょうか。また、なぜもう最後のテストも終わっているのでしょうか。
今回は、ドイツの学校(ギムナジウム)の夏休み前の3週間の様子を紹介します。
夏休みの4週間前から夏休みまでのスケジュールとは?
夏休みの3週間前には確定する成績
ドイツでは夏休み後から新年度が始まるので、夏休み前にもらう成績は一つの学年が終わる大事な成績になります。そのため、春から夏休み前にかけてテストがあるとなると、子どもたちはいつもとはちょっと違う緊張感に包まれます。
その学年最後の成績ですが、夏休みの約3週間前に決まります。
3週間前?
私の遠い記憶をたどると、日本ではそんな早くに成績が決まっていなかったように思います。それなのに、ドイツの学校ときたら、夏休みが始まる3週間も前に成績が決まってしまうのです。
成績が決まってからも授業は続く
成績が決まってしまったら、もう勉強することがなくなってしまったのかと思いますが、そうではありません。成績が決定しているというのに、その学年で勉強すべき課題が残っているということはごく当たり前で、授業は平然と続きます。
すでに課題がほぼ終わってしまっているという科目もあります。そうした科目の授業では、自由時間となり校庭で遊んだり、映画を観たりして過ごします。
また、遠足やスポーツイベントなどもこの夏休みまでの時期に行われることも多いです。
成績は先生と生徒の同意のもとで決まる
学校の成績は先生と先生が必ず話し合う時間があり、それによって同意が得られたうえで成績が決まります。小学校でもこの弁護(Verteidigung)の機会が設けられていましたが、先生が生徒一人一人と面接をします。そして、その生徒の成績を先生が言い、生徒はその成績に対しての同意や反論を述べることができます。
生徒がその成績で納得するなら面接はあまり時間がかかりませんが、反論する場合にはそれなりの時間がかかってしまいます。生徒は、○○をしたし、この間のテストは〇点を取れたのだから、この成績はひどすぎるなどの理由を言って、成績をよくしてもらおうとします。もしも先生を説得できれば、成績が上がります。説得が失敗に終われば、成績は最初に先生が告げた成績のままということになります。
先生と面接をして成績を覆せるなんて、生徒にとっては大きなチャンスです。
成績の最終確定は先生の話し合いで決まる
生徒との成績評価を行ったあと、先生方は話し合いの場を持ちます。そして最終的な成績が決まります。
この先生方が話し合いは夏休みの約3週間前です。
どうしてこんなに早いのか。その理由はわからないのですが、ドイツの学校はそんなものだと思っていていいようです。ほかの学校に通っている子どもに聞いても、同じようなスケジュールで成績が決まっています。
「もう少し長めに勉強してくれればいいのに」
夏休みの3週間前から、すっかり夏休み気分の子どもたち。今日も「友だちとプールに行ってくる」と言って、楽しそうに出ていきました。
夏休み前だというのにこののんびりムード。これこそドイツで暮らしているメリットかなと思うようになっています。でも日本の教育が体に染み込んでいるので、こののんびりムードに直面すると、今でも時々「もう少し長めに勉強してくれればいいのに」と思うこともありますけどね。