ドイツの宗教教育とは?「宗教」の授業内容・ドイツとキリスト教の関係も

ドイツの学校ではあまり聞き慣れない科目のひとつに、「宗教(Religion)」があります。この「宗教」の授業とはキリスト教について学ぶ授業です。

学校によっては、どちらの宗派も選べない人、または宗教という授業そのものを選べない、選びたくない人のために「倫理」の授業が用意されているかもしれません。

今回は、ドイツの学校の科目のひとつ「宗教」について解説します。また、キリスト教の特徴のほかに、宗教の授業の選択は義務なのかどうか、またクリスチャンではない無宗教の場合に宗教の授業が取れるのかなど、宗教の授業に関する疑問についても答えていきます。

ばどほん

お子さんが宗教の授業を選択されるときの参考にしていただけたら嬉しいです。

ドイツの学校での「宗教の授業」とは?

「宗教の授業」とは「キリスト教について教える授業」のこと

ドイツの公立の小学校やギムナジウムなどで行われている「宗教(Religion)」の授業とは、「キリスト教について学ぶ授業」です。学校では、略して「レリ(Reli)」と呼ばれることが多いでしょう。

キリスト教はドイツに根づいた宗教であり、「宗教=キリスト教」とイメージされることが一般的であることから、キリスト教を学ぶ授業のことを「宗教」と呼びます。ドイツの学校で行われる科目の「宗教」で、仏教やイスラム教などのキリスト教以外の宗教が学ばれることは一般的にありません。

キリスト教とはイエス・キリストの教えを信じる宗教

「キリスト教」は世界三大宗教のひとつで、「神」「イエス・キリスト」「聖霊」が三位一体となったものを信仰しています。イエス・キリストを救世主として、その教えを信じるという点が特徴的です。

キリスト教は、旧約聖書と新約聖書の両方を経典としています。「旧約聖書」は、イエス・キリストが生まれる以前にあったことが書かれていて、ユダヤ教の教典でもあります。一方、キリスト生誕後でキリストの教えを説く書が「新約聖書」です。生存していたころのイエス・キリストについてのエピソードとともに、その死後のことが、イエス・キリストの弟子である使徒たちによる書かれています。

「イエス・キリスト」とは…

「イエス」とは人名で、「キリスト」が救世主という意味です。イエスのことを「イエス・キリスト」以外にも「救世主イエス」などの呼び方もあります。

キリスト教の本質は、人とは罪深いものであることを確信して、その罪をイエス・キリストにより償えてもらわれたこと(贖罪)から、イエス・キリストの説いた神への愛を信じ、この世に生を受けたことを感謝しながら信仰に努めます。

授業の内容は、聖書からの有名な話やお祈りの成句など

宗教の授業は、キリスト教のローマ・カトリック派である「カトリッシュ(Katholisch)」か、プロテスタント系の「エバンゲリッシュ(Evangelisch)」に分かれて行われます。

その共通した授業内容は、主に聖書から学びます。聖書に書かれているノアの箱舟や十戒といった有名なお話の内容理解です。イースターやクリスマスなどのキリスト教にまつわる行事も課題の一つになります。

また、キリスト教の礼拝に欠かせないお祈りの言葉などの暗唱などは、小学校の宗教の授業で行われています。

お祈りの言葉「Das Vater Unser」(ドイツ語)

Vater unser im Himmel.
Geheiligt werde dein Name.

Dein Reich komme.
Dein Wille geschehe,
wie im Himmel, so auf Erden.

Unser tägliches Brot gib uns heute.
Und vergib uns unsere Schuld,
wie auch wir vergeben unsern Schuldigern.
Und führe uns nicht in Versuchung,
sondern erlöse uns von dem Bösen.

Denn dein ist das Reich
und die Kraft und die Herrlichkeit
in Ewigkeit.

Amen.

お祈りの言葉「主の祈り」(日本語)

天にましますわれらの父よ
願わくは 御名(みな)をあがめさせたまえ

御国(みくに)を来たらせたまえ
みこころの天になるがごとく
地にもなさせたまえ

われらの日用の糧を 今日も与えたまえ
われらに罪を犯す者をわれらが赦すごとく
われらの罪をも赦したまえ
われらを試みにあわせず
悪より救い出したまえ

国と力と栄えとは
限りなくなんじのものなればなり

アーメン

ドイツとキリスト教の関係は?

ドイツとキリスト教の関係は神聖ローマ帝国にまで遡る

ドイツとキリスト教の関係は長く、古くは神聖ローマ帝国にまで遡ります。神聖ローマ帝国のオットー1世がローマ教皇によって帝冠を授けられて以来の関係となり、今でもキリスト教はドイツ国民の約半数がキリスト教を信仰しています。

「神聖ローマ帝国」とは…

神聖ローマ帝国は、962年にドイツ王オットー1世がローマ教皇ヨハンネス12世によって戴冠式が行われた後、1806年のフランツ2世がナポレオンに倒れるまで続いたドイツ国家です。
教育面では、数多くのキリスト教系の幼稚園があり、キリスト教系の幼稚園でなくてもイースターやクリスマスなどのキリスト教にまつわる行事を取り入れています。

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まとめ

ドイツの学校で行われている「宗教」の授業とは、キリスト教についての授業になります。それ以外の宗教を学ぶことはありません。キリスト教にまつわる有名なお話やキリスト教の礼拝で暗唱されるお祈りの言葉などを習います。

キリスト教とドイツの関係は長く、神聖ローマ帝国にまでさかのぼり、ドイツにおいて宗教と言えばキリスト教という時代が長く続いていました。

次回は、宗教の授業についての疑問をQ&A形式でまとめます。宗教の授業はキリスト教徒でなくては取れないのか、または無宗教でも宗教の授業が取れるのか、宗教の授業を取りたくない場合はどうすればいいのかなどの疑問にお答えします。

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