ドイツでは原則的に、小学校は4年生で卒業して、上級学校にあたるギムナジウム、実科学校、基幹学校のいずれかに進学します。
わが子はどの学校に進学できるのかが気になるところですが、できればギムナジウムに進学してほしいと思っている親御さんは多いのではないでしょうか。
ギムナジウムは卒業時にアビチューア(Abitur)と呼ばれる進学試験を受けて、卒業後に大学や専門学校へ進学できるからです。
では、ギムナジウムに進学するには、どの程度の成績が必要なのでしょうか。またどのような手続きを基に、ギムナジウムに進学できるのでしょうか。
今回は、小学校からギムナジウムへの入学手続きの流れを紹介します。
私はヘッセン州に住んでいるので、ヘッセン州でのギムナジウム進学までの流れの紹介になります。別州によっては進学までの流れが違うこともあるので、参考までに読んでみてください。
小学校からギムナジウムへの進学率は?
バーテン=ヴュルテンベルク州で43.3%
小学校からギムナジウムにはどれだけの子どもが進学するのか調べてみたところ、バーテン=ヴュルテンベルク州が進学率を紹介していました。それによれば、2020年度のギムナジウムへの進学率は43.3%と発表していました。
半分に1人もギムナジウムに行けていない…
ギムナジウムへ進学を希望している人からすると、ちょっとドキッとする数字ですよね。
うちの子のクラスの場合…約75%
私の子どもたちが通っていたクラスでは、約75%の子どもたちがギムナジウムに進学しています。それ以外の子どもたちは、ゲサムトシューレと呼ばれるギムナジウムと実科学校の複合型の学校か、私立の学校へと進学していきました。
我が家の子供たちのクラスでは半分以上がギムナジウムに進学していますが、それでも決して誰もがギムナジウムに進学できるとは思わないほうがいいということがわかります。
小学校からギムナジウム進学までの流れ
ギムナジウムに限らず、小学校卒業後の進学先が決まるまでの流れは次のようになります。
➀小学校3年生後半以降の成績が決め手
進学先の選考に必要とされる資料で、最も大切なのが小学校での成績です。その成績とは、小学校3年生後半と4年生前半の成績です。これらの成績が進学先の決定に大きく関わるので、小学校3年生くらいから進路を視野に入れた学習での取り組みが気になるところです。
②オープンデーで学校を見学/学校説明会に出席:10月中旬頃~
小学校4年生の10月中旬ごろから3ヶ月くらいに渡り、ギムナジウムなどの各学校でオープンデーが開かれます。オープンデーでは親子で参加することができます。授業の模様が再現されるなどして、かなりリアルな学校の様子がわかることもあるでしょう。
学校の施設内に入れる貴重な機会ですので、その学校の雰囲気を知る意味でも、オープンデーに学校を訪れることをおすすめします。
今年はコロナで興味ある学校のオープンデーはオンラインに。初めて進学するお子さんのいる家の方にとっては、学校選びが難しかったかもしれません
また学校説明会では、学校に関する細かなデータが紹介されたり、個人的な質問も受け付けていたりすることもあります。基本的には親のみの参加になります。
③担任と面談:1月~2月中旬
進学先を決めるために、担任との面談を行います。
この時に担任から、ギムナジウムに推薦できるかどうかを言い渡されるでしょう。
ギムナジウムに推薦されることは、Gymnasialempfehlungと言います。また、ギムナジウムに以外の学校に推薦される場合にも、この場で推薦をもらうことになります。
この面談では、なぜそのような推薦をもらったのかなどの理由の他にも、普段の子どもの様子や授業態度なども話されるでしょう。
また、ギムナジウムで大切な科目、第1外国語や第2外国語について、担任と相談することもできるので、外国語の選択に迷っているときにはいいかもしれません。
この面談のときに、進学申込書を手渡されるので、期日までに提出するように言われます。
④進学申込書に記入して提出
進学申込書には、氏名や住所などの一般事項に続いて、ギムナジウムなどのどのタイプの学校に申し込みをするのかをチェックする項目があります。
次に、学校別にチェック項目があるので、進学希望をする学校の欄で、該当箇所にチェックしていきます。
主な内容は、第1・第2外国語に何を選択するのかについてと、宗教の授業についてなどです。
この進学申込書を指定された期日までに担任に提出して、後は結果待ちになります。結果が出るまでには2~3か月かかり、個別に郵送で送られてきます。
ギムナジウムへの推薦状をもらうための成績は?
ギムナジウム推薦をもらうための成績は“平均が2”
あくまでも私の個人的な経験ですが、子どもたち2人の成績からすると、ギムナジウムへの推薦をもらうための必要な成績の平均点は“2”です。小学校3年生後半と4年生前半の成績です。
例えば、学校の成績が「1・2・1・2」と行進の掛け声のような並びの成績なら、ギムナジウムへの推薦がもらえると思っていいのではかないかと思います。
大切なのは、主要3教科、[ドイツ語][算数][Sachunterricht]です。この科目で1が取れている、または平均が2で、ほかの科目に3が混ざっているという状態でも、ギムナジウムへの推薦がもらえるでしょう。
ただ主要科目で3が混ざってくると、ギムナジウム進学への推薦をもらえる可能性が厳しくなってくるかもしれません。
ギムナジウムへの推薦をもらえなかったら、どうする?
州によっては親が進学先を決める
州によって進学先の決め方が違うのですが、ギムナジウムに進学するかどうかを親が決められる州があります。この場合、学校がどの学校のタイプを推薦するかを言うことができるのですが、最終的な進学先を決定するのは親です。
これはどういうことかと言うと、例えば、担任がその子の進学先としてギムナジウムを推薦しなくても、親の判断で子供をギムナジウムに進学させられるのです。
親が進学先を決める州
- ベルリン州
- ブレーメン州
- ハンブルク州
- ヘッセン州
- メクレンブルク=フォアポンメルン州
- ニーダーザクセン州
- ノルドライン・ヴェストファーレン州
- ラインラント・プファルツ州
- サールランド州
- ザクセン・アンハルト州
進学してから苦労する可能性も
ここからは私の個人的な経験ですが、学校からの推薦に関係なく、親が進学先を決めた場合、その子供がギムナジウムに進学してから苦労することを覚悟しておいた方がいいということです。
これはすべての子に該当するわけではないでしょう。でも、これまでにギムナジウム推薦を小学校からもらえなかったのにギムナジウムに進学して、勉強面でつらい思いをしていた子供たちを見てきました。
学校から推薦もらえないということは、学校の判断でギムナジウムに進学しても勉強について行くには難しいと判断されたということです。この判断に、間違いは少ないのではないかと思っています。
ドイツの学校では、学校の授業についてこられないと、容赦なく、留年させられたり転校を余儀なくさせられたりもします。
ギムナジウムでも同じく、授業についてこられないと判断されたら、ギムナジウムに入学して早々1年目に留年や転校ということもありえます。
まとめ
ドイツでギムナジウムに進学するためには、小学校3年生後半と4年生前半の成績が大切で、その平均点が「2」です。ただ親が進学先を決められる州ならば、平均点が2を下回っていても、進学することができます。ただ小学校の成績の平均が「2」程度ないど、ギムナジウムに入学してから勉強について行くのが大変になるでしょう。
ギムナジウムへの進学を考えているのなら、主要教科のドイツ語・算数・Sachunterrichtで成績が「2」になるように、普段からサポートしてあげるといいかもしれません。不安なときは、担任やママ友などに相談してみると、解決策が見つかるかも。
ひとりで悩むよりも身近にいる人に声をかけてみるといいと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました。では、また!