日本はやわらかくて、もっちりとした白いパンが好まれていますよね。でもドイツでよく食べられているパンは、歯ごたえがあり少し酸味のあるライ麦系のパンが好まれています。
日本のパンとはかけ離れている印象のドイツのパンですが、もしもあなたがドイツに来たら、どのパンから試してみますか。
味が想像しにくいので選びにくいという方のために、この記事では、やわらかくてフワフワのパンに慣れた日本人にも抵抗が少ないパンの選び方を紹介します。また、ドイツ人のパンの食べ方も紹介しますので、参考にしてみてください。
〇 どのドイツパンから食べ始めるのがいいのかを知りたい方。
〇 ドイツ人のパンの食べ方を知りたい方。
ドイツのパンってどんな味?
ドイツパンと知られる黒いパンはほんのり酸っぱい
ドイツパンとして有名なのが、全体が黒っぽいライ麦系のパンです。密度が高く、歯ごたえもしっかりとしていて固く感じられるかもしれません。
酸っぱいパンっておいしいの?
“酸っぱい”の表現が難しいところなのですが、日本でおなじみのやわらかいパンに比べるとほんのりと酸味が感じられると思います。
でも“お酢”のような強い酸味ではなく、あくまでも“ほんのりとした酸味”です。ジャムを塗って食べたときに邪魔するほどではありません。
ドイツのパンは黒っぽくて固いパンとして知られているのをご存知ですか。ドイツでよく食べられているパンは、黒みがかり、歯ごたえがあって、酸味も感じられます。そのパンの正体は、ライ麦パンです。ライ麦を原料にしたパンは小麦粉が主原料のパンよりも[…]
ドイツパン初心者向け!おすすめのパンの選び方とは?
食感がやさしい「シュニットブロットシェン」から試してみよう
いきなり黒いドイツパンを試すのには勇気がいるという方には、食感がやさしく日本人にも食べやすいパンから始めてみましょう。
ドイツの朝食によく食べられるのが、丸い形をしたまたシュニットブロットシェンやカイザーセメルです。食べ切りタイプの大きさで、原料が小麦粉なので食べやすいパンです。
シュニットブロットシェンをどう食べる?
シュニットブロッシェンはテニスボールのように高さのあるパンです。そのため、そのままかぶりつくのはちょっと大きすぎます。
そこで、ドイツ人はこのパンを上と下に切り分けて食べます。
パンの横から思いっきりナイフをぐさっと突き刺してください。そして、ナイフを水平に動かしてざくざくと切り分けます。
すみません、ちょっと言葉遣いが乱暴になってしまいました。
でも私が初めてこのパンをドイツ流に食べたときには、そんなイメージでした。
パンにナイフを突き刺すって発想がなかったもので、ちょっと緊張したものです…
パンが上部と下部に切り分けられたら、それぞれにジャムやチーズ、ハムなどを乗せていただきます。
ドイツ流のマナーを、ぜひドイツのホテルやレストランなどで試してみてくださいね。
ブレッツェルは日本でも人気かな
ブレッツェルは日本でも売られていることがありますよね。ブレッツェルは小麦粉ベースのパンですから、食べやすいパンだと思います。
ブレッツェルでは、その表面の硬さや密度の濃さを体験できるはず。
ブレッツェルのパンの密度はドイツの黒いパンにも通じるところですので、ブレッツェルの食感をお楽しみください。
いよいよライ麦系パン「ミッシュブロート」にトライ!
次に、ライ麦が入っているパンを食べてみましょう。
初めはライ麦の含有量が少なめの「ヴァイツェンブロット(Weizenmischbrot)」がおすすめです。ほんのりとライ麦の香りがしながら小麦粉が入っているのでパンの食感はマイルド。ハムやチーズ、ジャムなど、どのトッピングでも相性がいいです。
その次が「ローゲンミッシュブロット(Roggenmischbrot)」です。ライ麦の含有量も約50~90%です。サラミなどのハム類を乗せたり、クリームチーズをたっぷりと塗って召し上がれ。
ローゲンミッシュブロートになると、かなりライ麦の香りが強くなってきますよ。
待ってました!「ローゲンブロート」にチャレンジ
最後に控えるのは「ローゲンブロット(Roggenbrot)」、ライ麦含有量90%越えのパンです。
これを制覇したら、あなたも今日からドイツ人⁈
「ローゲンブロット」は歯ごたえもあり濃厚なお味です。夕食にチーズやハムなどを乗せて、ゆっくりと噛みしめて食すのがいいかもしれません。
もちろん、ジャムなど甘い系を乗せて食べても美味しいですが、私のおすすめは塩味のきいたハム・サラミなどの肉類か、香りが強めのチーズです。
「ローゲンブロート」は食べ慣れてくると、毎日食べなくてもいいけど、またここに戻ってきたいと思える味になるはず⁈
ドイツ人のパンの食べ方とは?
平日の夕食にパンを食べることが多い
ドイツ人は一日3食パンを食べることもあります。でも、朝食はパンではなくシリアルで軽く済まし、昼食には温かい食事をドイツ人は好みます。
ただ夕食に限っては、パンを食べるという家庭が多いでしょう。
「夕食」については、「晩のパン」という意味の「Abendbrot(アーベンドブロット)」という別称もあるほどです。
特に平日の夕食に、晩のパンとしてパンにチーズやハムを乗せて簡単に済ませます。
具材はチーズやハム、スモークサーモンなど
パンに乗せる具材はスライスしたチーズ、ハーブの入ったクリームチーズ、肉類ならハム、サラミなどです。チーズや燻製食品の種類は多く、店のショーケースにずらりと並んだチーズやハム類には圧倒されるかもしれません。
お魚ならスモークサーモン、酢漬けのニシンも見かけます。
サラミやハムは直感で選ぶ
数あるハムやサラミからどれを選んだらいいのでしょうか。種類が多いので、選び方が難しいハムやサラミ。
私は今でもショーウィンドー前でよくハムとにらめっこしています。
でもいくら見てもその味を想像することはできません。なぜなら見た目とは違う味ということがよくあるからです。
ですから、私のおすすめの選び方は「直感で選んでみる」ということです。食べてみて美味しかったらよかったと満足して、苦手だったら失敗したと思うだけ。それだけのことです。
もしも直感が働かなかったら、お店の人に「こども用のサラミが欲しいんだけど、どれがいい?」なんて聞いてみてもいいでしょう。ドイツ人は見た目ががっちりとしている人が多く最初は質問することに勇気がいるかもしれませんが、聞いてみたら結構親切に教えてくれることも珍しくありません。
迷ったらお店の人に聞いてみるのも一案です。
パンにはバターをたっぷりと
どんな具材を乗せてもいいのですが、ドイツ人にとってなによりも大切なことは、具材を乗せる前のバター塗り。
パンにたっぷりとバターを塗ります。その量はバターの下のパンが見えなくなるほどで、1段の薄いバターの層ができています。
夕食がパンだからドイツ人のキッチンがきれいという噂も
「ドイツ人はきれい好き」という噂を聞いたことはありませんか。確かにドイツ人のお宅に伺うと、きれいに片づけられているな、センスのあるインテリアだなと思うこともしばしば。とくにキッチンがきれいに片付いているという印象があります。
ドイツ人のキッチンがきれいな理由はドイツ人がきれい好きだということにも関係しているかもしれないのですが、もうひとつ考えられる理由は、夕食に料理をせずにパンだけで済ませることが多いことも挙げられます。日本人で3食和食のお宅に比べるとキッチンを使う回数が少ないので、キッチンをきれいに保ちやすいようです。
私も夕食をパンにするときがあり、後片付けの時間が約半分に。この簡単さは主婦にとっては嬉しいです!
まとめ
ドイツで初めからライ麦系のパンを食べることに抵抗のある方のために、おすすめのパンの選び方を紹介しました。徐々に食べ慣れていくためのパン選びのステップは次の通りです。
- 「シュニットブロットシェン」で肩慣らし。
- 「ブレッツェル」を試したら、「ミッシュブロート」にトライ。
- 「ライ麦パン」を食べれたら、これで上級者の仲間入り。
ただ「ライ麦パン」が食べられなくても、悲観的に思うことはありません。ドイツ人も、そして私も「ライ麦パン」を食べるよりも「ミッシュブロート」を食べることの方が多いですから。「ミッシュブロート」の方がライ麦の味を感じられながら口当たりが軽いので食べやすいからです。
美味しく食べるのが一番大切なことですので、ぜひいろいろと試していただき、たくさんある中からお気に入りのパンを見つけてみてください。