【ドイツで育児】育児休暇の男性の取得率は?期間と申請の方法も解説

この記事ではドイツの育児休暇について、育児休暇の期間や取得率、申請の方法などを解説します。

「ドイツは育児に優しい」という噂があるようですが、確かにドイツの「育児休暇制度」はよくできていて、育児休暇を3年も取れるうえに補助金があり、時短勤務もありなど働くママやパパのニーズに応えた制度になっています。

この記事では、ドイツの育児休暇制度について、休暇期間や育児休暇の取得率、申請の仕方や補助金の種類などを解説します。

【この記事がおすすめの方】

  • ドイツの育児休暇制度について知りたい方。
  • 育児休暇を取った場合に、補助金などのサポート内容を知りたい方。
  • 育児休暇の申請方法など手続きについて知りたい方。
  • 育児休暇以外のドイツで受けられる育児サポートを知りたい方。

ドイツの育児休暇制度とは?

「育児休暇」は働くパパとママが取得できる休暇

ドイツで「育児休暇」は働いているパパとママが自分の子どもを育てるための充電期間として、すべての働く親に認められている制度です。

育児休暇で働かない間は、会社からお給料は支払われません。それでは生活に困りますよね。

そこでドイツでは両親手当「Elterngeld」と呼ばれる補助金があります。申請さえすれば、行政から金銭的な補助が受けられます。

育児休暇の期間は最長3年

ドイツの育児休暇の期間は、15人以上の従業員のいる会社なら子ども1人につき最長3年です。

両親の都合に合わせて育児休暇が取れる

ドイツの育児休暇は、両親の都合に合わせて休暇を取る時期や期間を決められます。子どもが8才になるまでの間、細かく休暇期間を分けて休暇が取れます。3年間まとめて取る必要はありません。

例えば、赤ちゃんのお世話が忙しい最初の2年間に育児休暇を取り、働きに出たあと、未消化分の1年間を子どもが8歳になるまでに申請して休暇を取ることができます。

私のママ友は、赤ちゃんが産まれてから最初の1年半に育児休暇を取ったあと、仕事に戻りました。彼女が仕事に復帰してからはご主人が育児休暇を取り育児に専念。幼稚園入園などで手間がかかり始める前に、またママが育児休暇を取るという “リレー形式”で育児をしていました。

育児休暇中でも週30時間まで働ける

育児休暇中にも働きたいママやパパのために、従業員が15人以上の企業なら週30時間までの時短勤務(Teilzeitarbeit)ができます。

赤ちゃんが2021年9月1日以降の誕生日なら、週32時間までOKです。

育児休暇中の解雇は厳禁

これほど長く育児休暇が取れると育児休暇中に解雇されるのではないかという不安になってきませんか。でも、育児休暇中の解雇は法的に禁止されています。

でも長い育児休暇を取ってしまうと、仕事復帰が難しくなりませんか?

その不安はドイツのママやパパも同じです。そのため多くのママやパパが、育児休暇中でも働ける時短勤務を利用しています。

ばどほん
育児に1年ほど専念して、それから時短勤務で徐々に仕事も始めて、完全復帰したときには通常通りのお仕事をしている働くママが多いですよ。

育児休暇はドイツ語で「Elternzeit」

「育児休暇」はドイツ語では「Elternzeit(エルターンツァイト)」です。直訳すると「親の時間」になります。

ママやパパも赤ちゃんが産まれてすぐのころはまだ初心者。そんなビギナーママやパパが「親」になるための時間という意味での「Elternzeit」。

ばどほん

いいネーミングですよね。

2000年以前は「育児休暇」と直訳できる「Erziehungsurlaub」という表現が使われていたのですが、男性でも育児休暇が取りやすいように「親の時間」=「Elternzeit」という名称に変わりました。

育児休暇取得率はどれくらい?

ママの取得率は95%、パパは35.8%

ドイツ連邦統計局の2019年の発表では、2015年に生まれた子供のママの育児休暇取得率は95%、パパは35.8%です。

ママに比べるとパパの育児休暇取得率は低いのですが、2008年では20.8%でしたから確実に育児休暇を取るパパの数が増えています。

参照:雑誌「シュピーゲル」オンライン版(2019年3月14日):”Junge Väter in Elternzeitä”Vereinbarkeit ist für Männer immer noch schwieriger””

両親手当プラスが育児休暇取得率を上げている

「両親手当プラス」とは2015年に始まった時短勤務での収入はそのままで両親手当をもらえる制度です。

それ以前は、育児休暇中の時短勤務で得られた収入分を両親手当から差し引いた金額が支給されていました。

「両親手当プラス」が導入されたことで、金銭的な保障が厚くなりました。

ばどほん
パパの育児休暇取得率が上がったのは「両親手当プラス」が導入されている時期と重なっているそうです。

男性が育児休暇は取りにくい

確かに男性が育児休暇を取るようになってきています。でも、ドイツ家庭の約75%で男性が大黒柱と言われているので、男性が育児休暇を取ることは簡単ではありません。

ママが育児休暇を取って育児に専念して、パパは育児休暇は数週間程度にして仕事に戻られることが多いです。

最近の傾向としては、若い家庭の共働きが増えています。親が30歳以下の家庭の2/3が共働きで、共働きにより経済的なリスクを減らすだけでなく、失業や老後に備えて蓄えている堅実志向の家庭が多くみられます。

育児休暇の申請の仕方とは?

申請先は雇用主

育児休暇の申請は、雇用主(Arbeitgeber)に行います。電話やメールでは正式な申請になりませんので、書類として紙面で申請してください

 

「育児休暇願」を書くときのコツ

いつからいつまでと育児休暇を取りたいと、具合的な日程を書いて申請します。「出産後」といったあいまいな表現では雇用主にはわかりにくいからです。〇月〇日~〇月〇日のように希望する休暇期間を書いて申請しましょう。

申請は育児休暇を取りたい期間の7週間前まで

育児休暇の申請は、子どもが3歳の誕生日を迎えるまでなら希望する育児休暇の7週間前まで子どもが3歳から8歳の誕生日を迎えるまでなら13週前までです。

ばどほん

この申請の期日は“デッドライン”ですので、これ以上、申請が遅くならないようにしましょう。

働くママの場合は出産後の申請でも遅くない

働くママは、出産前後に「産休(Mutterschutzfrist)」が認められています。育児休暇の申請は、出産後の産休中に申請して遅くありません。

育児休暇の申請は希望する育児休暇の7週間前で、産休の期間は出産予定日の6日前から産後の8週間までです。

ということは、赤ちゃんが産まれてから育児休暇の具体的な日程などを考えてから、産後1週間以内なら育児休暇の申請ができるということです。

育児休暇の申請は7週間前でも産休を利用すれば時間的な余裕があることを覚えておきましょう。

育児休暇だけじゃない!ほかの育児サポートとは?

育児休暇だけでも子育てママやパパを手厚くサポートしているように思いますが、ドイツには他にも育児を助けるサービスがあります。

ここでは育児をしているママやパパが受け取れる保証制度を見ていきましょう。

3種類の「両親手当」

両親手当「Elterngeld」

育児休暇中に受け取れる両親手当「Elterngeld」では、育児で休職をする親が産休前の収入の67%(上限1800ユーロ)が支給されます。支給期間は赤ちゃんが産まれた月から12ヶ月間です。

もしもシングルマザーまたはシングルファーザーと、さらに両親がいても職場復帰後の収入が復帰前よりも場合の片方の親だけは、2ヶ月延長できます。

両親手当プラス「ElterngeldPlus」

「両親手当プラス(ElterngeldPlus)」は、両親手当と同じ条件での支給額ですが、支給期間が2倍の24ヶ月です。また両親手当と同じ特定の条件を満たしていれば2ヶ月の延長もできます。

パートナーシップボーナス「Partnerschaftsbonus」

「パートナーシップボーナス(Partnerschaftsbonus)」ではママとパパが同時に時短勤務をする場合に使える制度で、両親手当プラスを4ヶ月追加できます。

なお、この制度はシングルマザー及びシングルファーザーも使えます。

「在宅育児手当」は2歳まで自宅で育児をする家庭への補助金

「在宅育児手当(Betreungsgeld)」は、1才から2才の子どもを保育所に預けずに家で育てている家庭に毎月150ユーロを支給する制度です。

またこの手当を貯蓄に回せば、さらに15ユーロの補助金が受け取れます。

「児童手当」は子どもひとりにつき「219ユーロ」

「児童手当(Kindergeld」」とは、18歳までの子どもに毎月219ユーロが支給される制度です。2人目までは同額ですが、3人目は225ユーロ、4人目以降は250ユーロと支給額が変わります。

また、25歳までの子どもでも学業や職業訓練を受けている場合には児童手当が支給されます。

まとめ

ドイツでは育児休暇を3年も取ることができる上に、その取り方も両親の都合に合わせて調整できるのがいいですよね。でも、まとめて3年も育児休暇を取ってしまうと職場復帰が難しくなることも。だからドイツのママやパパは、時短勤務をうまく取り入れて徐々に100%復帰へと準備を進めています。また、両親手当など補助金も大きな助けになってくれるのではないでしょうか。

ドイツで働いているママさん、パパさん!ドイツの育児サポート制度をうまく使って、育児とお仕事の両立を頑張ってやってみてくださいね。

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