【ドイツの宗教教育】「宗教の授業についてのQ&A」無宗教の場合はどうする?

今回は、宗教の授業についての疑問をQ&A形式でまとめました。宗教の授業はキリスト教徒でなくては取れないのか、または無宗教でも宗教の授業が取れるのか、宗教の授業を取りたくない場合はどうすればいいのかなどの疑問にお答えします。

関連記事

ドイツの学校ではあまり聞き慣れない科目のひとつに、「宗教(Religion)」があります。この「宗教」の授業とはキリスト教について学ぶ授業です。学校によっては、どちらの宗派も選べない人、または宗教という授業そのものを選べない、選びた[…]

宗教の授業についてのQ&A

Q「宗教の授業を選びたくないときにはどうするの?」

A. 宗教の授業の代わりに倫理の選択ができる場合も

宗教の授業を選べない生徒のために、学校によっては倫理の授業を選択科目に加えていることがあります。また宗教の授業を選べず、またその代わりとなる授業を学校が行っていない場合には、生徒は宗教の授業の時間は自主学習の時間となるか、その時間には学校には来ないという選択肢が設けられていることもあります。

Q「キリスト教徒でなくても宗教の授業を選べるの?」

A.「だれでも宗教の授業を選べます」

宗教の授業はだれでも選択できます。つまり、キリスト教以外の宗教を信仰している人や、多くの日本人がそうであるように特定の宗教を信仰していない人でも宗教の授業を選べます。

また、カトリックを信仰しているのに、学校の授業ではエバンゲリッシュを選択することもできるので、カトリックとエバンゲリッシュのどちらを選ぶのかは親の判断になります。

Q「宗教の授業は義務なの?」

A.「原則的には宗教の授業は義務化されています」

宗教の授業は、必ず受けなくてはならない科目のひとつです。ドイツ基本法第7条によって規定されていて、特定の宗教を問わない学校では、必ずキリスト教を教える宗教の授業を行うことになっています。

ただし、宗教の授業をどのように行うのかは、各州が決めることで、州によっては授業の行い方に違いがあります。

Q「宗教の授業を受けるためにキリスト教徒にならなくてはいけないの?」

A.「キリスト教徒になる必要はありません」

宗教の授業に出席することは義務化されているのですが、宗教的儀式を強いられることはありません。また、キリスト教に入信するための儀式として洗礼がありますが、洗礼を強要されることもありません。

Q「聖書は必要なの?」

A.「聖書は必要ありません」

宗教の授業を選択しても、聖書を用意する必要はないはずです。私の子どもたちが宗教の授業を選択した経験からですが、確かに宗教の授業では聖書の内容が取り扱われます。でも、実際に聖書を開いて学ぶことはありませんでした。宗教の授業の教材は、いつもプリントで配られていました。

Q「宗教の授業はどの学年から始まり、いつまであるの?」

A.「宗教の授業は小学1年生から9年生まで」

キリスト教系の幼稚園ではなく特定の宗教を重んじていない公共の幼稚園でも、クリスマスなどのキリスト教関連の行事を行っていることは多いでしょう。

ただ、宗教の授業として始まるのは、小学校1年生からです。そして、Sekunderstufe I、つまり9年生まで宗教の授業はあります。またギムナジウムによってはアビテゥア(Abitur)まで宗教の授業があることもあり、詳しくは州政府の規定によって異なります。

Q「宗教の授業でキリスト教以外の宗教を教えている学校はあるの?」

A.「あります」

キリスト教以外の宗教を教えている学校は少ないのですが、ユダヤ教や仏教、ヒンズー教、イスラム教のアレヴィー派、ギリシャ正教の授業をしている学校もあります。

関連記事

ドイツの学校で行われる「宗教(Religion)」の授業では、「カトリック(Katholisch)」と「エバンゲリッシュ(Evangelisch)」に分かれていますが、どのような違いがあるのでしょうか。今回は、ドイツの学校の科目のひ[…]

まとめ

ドイツの学校で行われている宗教の授業は、キリスト教のことを学ぶのが一般的です。しかし、日本人はクリスチャンでない人の方が多く、仏教徒なのに、または特定の宗教を信仰していないのに、ドイツの学校に通っているという理由だけでキリスト教のことを学ぶことに抵抗がある方もいるかもしれません。

ドイツでのキリスト教の歴史が長く、キリスト教はドイツに根付いている宗教です。学校でキリスト教を学んでもクリスチャンになることを強制されたり、洗礼を受けることにもなりませんので、ドイツ文化のひとつとして宗教の授業でキリスト教を学んでみるのもいいかもしれません。

ただそれでも宗教の授業を受け入れがたい、受けたくないなと思われる場合には、宗教の授業を取らない別の選択肢も学校で用意されていることがありますから、学校に相談してみましょう。

育児の最新記事8件